本書は、著者が海外駐在や外資系企業勤務等で20カ国以上の人々と仕事をしてきた経験により感じた、外国語を学ぶことよりも大切な異文化コミュニケーションのヒントについてまとめられたものである。
人は誰でも得意なこともあれば、不得意なこともあるが、日本人の多くは、短所に着目し、直すネガティブフィードバックを教育の基本的な考えとし、アメリカ人は、長所をさらに伸ばすポジティブフィードバックをするという。それは日本の平均を目指す教育ではなく、個人のプラスの部分に着目し重要なポイントのみを修正し、常に誉めてポジティブに変化させていくものだ。
日本人の教育方法は、子供の頃に親や学校等周りの人からひどく叱られたり、ダメだと言われ続け、人格を否定され、結果として自尊心が低くなってしまう人が多い。
すると、常にネガティブで、周りの目を気にしながら自分はダメな人間だ。価値が低いなど強い劣等感を抱き、プライドや自信のなさから自分を守るために、実際には悪いことが起きていなくても、過剰反応して周りを攻撃したり、他人と比べて傲慢になったりもする。そういった行動は心の不安定さから来るもの。
人と自分を比べ、自分で自分の可能性をつぶす必要はない。誰でも存在しているだけで価値があり、過去の自分よりどれだけ成長したかが重要だ。そんな自分自身を受け入れ、大切にすることで、結果として人へも優しくすることができる。
さらには、自分が大事だと思う人に対して、自分の気持ちや意見をしっかりと伝え、気取らない、作らない本当の自分自身を出すことができれば、どんな関係性であっても生涯失われない強固な人間関係を築くことができるだろう。