皆さんこんにちは。漫画『ヴィンランド・サガ』の中に、はるばるアイスランドからギリシャまでイッカクの牙を売りに行くエピソードがありました。
しかし、紀元前330年頃、ギリシャ植民都市マッサリア(現代のマルセイユ)を出発し、アイスランドもしくはノルウェーに到達したとされるギリシャの探検家ピュテアスの物語は、さらに古く壮大な冒険を物語っています。『ギリシャ人ピュテアスの大航海』は、彼の驚異的な旅路を詳述し、古代北ヨーロッパの文化や交易の様子を鮮明に伝える一冊です。
ピュテアスは、錫を求めて北方へと旅立ちました。紀元前4世紀の地中海世界において、錫は青銅の製造に欠かせない貴重な資源でした。ピュテアスは、現在のイギリスやバルト海沿岸の人々と接触し、彼らがどのように琥珀や錫を集めていたかを記録しています 。
本書では、ピュテアスが目にした北ヨーロッパの文化や交易の様子も詳述されています。コーンウォールのピクト人が錫を精錬し、バルト海沿岸の住民が琥珀を集める様子は、当時の貴重な記録となっています。また、マッサリアから流れたワインやギリシャの陶器が西ヨーロッパにどのように広まっていったかも描かれています 。
『ギリシャ人ピュテアスの大航海』は、古代の冒険と歴史を紐解く素晴らしい作品です。ピュテアスの航海は、彼が見た風景や出会った人々、彼の壮大な旅路と、その中で得た貴重な知見は、現代の私たちにとっても多くの示唆を与えてくれることでしょう。