サイボーグ009、仮面ライダー、秘密戦隊ゴレンジャー、アクマイザー3、快傑ズバット、宇宙鉄人キョーダイン、がんばれ!!ロボコンなど、等身大ヒーローのオーソリティーとして君臨した石森章太郎(当時。その後、石ノ森章太郎に改名。ああ、めんどくさい)だが、おれにとって、彼の大漫画家が遺した作品のうち、最もショックを喰らったのは『人造人間キカイダー』に相違ない。
それは、仮面ライダーのヒットを受けて、次なる変身ヒーローの創作を課され、テレビ向け特撮番組として企画された作品であった。
特筆するべきはそのデザイン。
左右非対称。頭の内部のメカが半分丸見え。そして、体の半分の色は青で、もう半分は赤。
これは、キカイダーは生みの親である光明寺博士によって体内に不完全な状態の良心回路(ジェミニィ)を埋め込まれた為だ。青は正義、赤は悪の心を象徴しているのだ。
個人的には、当時の我が家のテレビがまだ白黒だった為に、どっちが青でどちら側が赤なのか、まったく判別出来なかったという、とほほな想い出の元でもあったりするのだが、まぁ、それはさて置き。
初期設定は、漫画もテレビ版もそれほど違いはないのだが、お話的には大分異なる。
テレビでは後番組として始まった『キカイダー01』で、主役の座を兄であるゼロワンに明け渡すが、漫画での主人公は最後までキカイダーのままだ。
ビジンダーもハカイダーもちゃんと出てくる。漫画版にだけ登場するキカイダー00(ダブルオー)っていう寡黙であんまり目立たないけどめちゃ強い奴もいる。
やはりこの時代のお話だけあって、というより、石森章太郎の描く話は絶望的なものが多いのだが、その点で言うとキカイダーはピカイチ。
ハカイダーが終盤頑張っちゃったお陰で、キカイダーブラザーズ&ビジンダー掴まる。
ハカイダーに服従回路(イエッサー)を組み込まれ、みなさん悪の言いなり。ハカイダー様の世界征服の準備で大わらわ。
で、キカイダーが服従回路の効能であああ言えねえええよ!
とにかく、終わり方が非道い。とんでもなく救いようがない。
そのドイヒーな結末に、おらぁガキの頃、ト、トラウマになっちまったよ。
尚、キカイダーはその後、週間少年サンデーで同時(!)連載していた『イナズマン』に登場し、世にも珍しい二段オチによるラストを迎えるのであった。
いや、めでたし、めでたし。
人造人間キカイダー
作者:石森章太郎
発売日:1972年12月1日
メディア:単行本