本書ではイルカやクマなど様々な動物たちの、仲間や親戚の死に直面した時の行動・反応が細かく書かれている。
驚いたのは
ニホンザルの母親で不思議なことに、死んだ小猿の死骸をずっと抱え続ける母猿がいる。小猿の死亡率はとても高く、ほとんどの母猿が一週間以内に小猿の死骸を手放すなかで、
最長で17日間も抱き続けて生活をしていた母猿がいる。
この頃になると、小猿の死骸には蛆がわき、ハエがたかり強烈な腐敗臭が漂っている。
世界記録は更に驚きで、
エチオピアのゲラダヒヒが最長で48日間、小猿の死骸を抱き続けた記録がのっている。
私たちからして、どう考えてもコスパが悪い行動だ。
・片手が常に塞がっているため、森や急斜面で苦労する。
・強烈な腐敗臭で仲間が寄ってこない。あるいは敵に気付かれてしまう。生存に支障をきたす。
ここには何か、母猿の強烈な意志のようなモノを感じずにはいられない。
これを書いていて気付いたのですが、著者のバーバラ・J・キングはアフリカで猿の研究をしていたようで、猿のエピソードが群を抜いていた様に感じたが、他のエピソードも負けず劣らずのものばかり。
たまには人間界を離れてみたい人にはオススメの一冊でした。