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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】SFを未来にする力がヒトにはある。『日産未来文庫・答え合わせは未来で。』

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日産自動車が、想像のプロであるSF作家とともに描いた「自動運転社会の未来」を予想した全19話のショートショート集。

 

この本は、性能がいい。ページ開いて一瞬で未来に行ける。この小さな文庫は「どこでもドア」であり、「タイムマシン」でもある。一つの物語は、ほんの4ページ、単なる白黒の文字の羅列に人は泣けるし笑える。ショートショートとSFの面白さがギュッと詰まっている。あっという間に読めるのに、そのわずかな時間でもタテヨコに感情が揺れ動く。だからこそ読後感が爽快だ。

 

私が好きだったのは、小さな「ぼく」と自動運転車AIアルとの別れを描いた「ラストラン」、そして「タクシードライバー」は設定が切ない。「ドライブデート」も良かった。未来という非日常の設定に、日常のリアルがちりばめられていて、数十年後、数年後をすごく近い距離で感じることができる。

 

こちらの書籍、現在配布が終わっている、というのが残念でならない。日産のホームページにて、一部の物語は読めるようになっているが、7つのストーリーだけだ。

それにしても、プロモーションとして、映像やパンフレットでもなく、ショートショートという手法を選ぶところが心憎い。「答え合わせは、未来で。」なんてタイトルだけで心が動く。日産、このCMプランナーを手放してはいけない。なんて、余計なことをつい言いたくなってしまう。

 

テクノロジーも文学も出てくるところは同じ。文系理系だなんて、ナンセンスでしかない。この本は人生を味わい深くすることを思い出させてくれた1冊だ。出会えたらチャンス、ぜひページをめくってほしい。