ハラハラ、ドキドキ、まるでジェットコースターのような、オンデーズの事業再生物語。
JINS、Zoff、オンデーズ。メガネをファッションのように付け替えるカルチャーが定着してどのくらいになるだろうか。オンデーズ躍進の裏側にこのような物語があったとは全く知らなかった。
弱冠30歳にしてオンデーズの経営権を引き受けた田中氏。そしてCFO奥野氏。譲渡早々に資金ショートの危機に見舞われ、それからもオンデーズはいつもいつも資金繰りとの闘いだ。
読んでいるこちらがヒヤヒヤするほどに、田中氏の経営判断はまさに破天荒。債務超過に陥った状態で、新店舗開発や新規開店時の半額セール、企業買収、フランチャイズ体制への移行、海外進出など、次々と新しいことを仕掛けていく。
そして、そのたびに、奥野さんが、胃をキリキリ痛めながら東奔西走する。
しかし、田中氏の孤独な胸のうちも明かされており、人間不信になったり、ときには投げやりになったりしながら、事業再生に邁進していく姿は、狂気の沙汰にも思えた。
この物語は、オンデーズの財務体質改善ストーリーでもある。他社買収による負ののれん、ホワイトナイトの登場、最後はシンジケートローンが組成される。オンデーズが勝ち抜いてきた道の裏には、いつも資金ショートの危険性があった。綱渡りで進んでいく様子を読みながら、誰か融資を!と願わずにいられなかった。
何より、キャッシュフロー経営がいかに大切か思い知らされる一冊。そして、瀕死のオンデーズを文字通り死ぬ気で蘇らせた田中氏と奥野氏の手腕をただただ凄いと思う。
皆さんも不死鳥フェニックスの生き様を感じてみてはどうだろうか。