この『王様の仕立て屋』は、フルオーダーのスーツを通してイタリア人の「粋」である「エレガンテ(elegante)」を学び、再び日本人の「粋」について学ぶことが出来るファッションマンガである。
「粋」、「エレガンテ(elegante)」とはなんだろうか?
ファストファッションや量産スーツが非常に高いレベルにある昨今、スーツを買うこと自体が多くの人の身近にはない。ファッションは自分で選ぶ必要すら無くなり、スタイリストが洋服を選んでくれるパーソナルスタイリングサービスも人気だ。選んでもらった洋服をオーダーするだけ、webで全てが完結することもできる。今後はAIが代行してくれるだろう。
量販店のスーツでも種類は選びきれないほどあり、自分の体形に合せれば十二分な物が買える。
一方で、フルオーダーするともなれば軽自動車が変える金額にもなるスーツを買う意味はあるのだろうか?
答えはマンガの中にある。
スーツをオーダーする際の職人との会話から始まり、生地、合せるシャツの色やネクタイ、靴。果てはスーツの襟の大きさに至るまで細かく決められていく。
これら全てに相手への思いり、遊び心と着る人間の人生が現れる。
そう、「エレガンテ(elegante)」とは、長い年月をかけて作られたイタリア人の誇りであり、遊び心であり、人生哲学なのだ。
私達日本人にも粋の精神があったはずだ。
人生に「粋」を忘れてはいないだろうか?
スーツを通して「粋」とは何かを学び直せること請け合いだ。
王様の仕立て屋 1: ~下町テーラー~ (ヤングジャンプコミックス)
- 作者: 大河原遁
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/12/19
- メディア: コミック
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