みなさんこんにちは。図書館の面出し「文学の現在地」にあった、宇佐美まことの『ドラゴンズ・タン』を読みました。この小説は古代中国から現代までの2000年に渡る壮大な物語を描いています。この作品の中心には「竜舌」という神秘的な存在があり、それが各時代においてさまざまな姿や形で登場し、人々の運命を大きく左右しています。
明代・紫禁城のエピソード
特に印象的だったのは、明代の紫禁城を舞台にしたエピソード。宦官や皇太子、皇后といった権力を中心とした人々の複雑な思惑が交錯する中、竜舌が絡んでくる構成は非常に引き込まれました。紫禁城の歴史的背景と、権力への欲望、筆者の独特な物語性が組み合わさり、読者を深く物語の世界に引き込む力がありました。
竜舌の因縁
竜舌は各時代に姿を変えつつ、最後には現代でその牙を向けます。しかし、その解決の鍵となるのは、古代中国からの因縁。この因果や宿命のテーマは、物語全体を通して強く打ち出されており、読者に深い感慨をもたらします。
総評
『ドラゴンズ・タン』は、過去の出来事や選択が未来にどれほどの影響を持つかを示す作品として、非常に読み応えがありました。宇佐美まことの筆致によって、時代を超えた因縁や宿命が緻密に、そして感動的に描かれています。歴史とファンタジーの融合は、この作品の大きな魅力と言えるでしょう。
