身体醜形症を知っているだろうか?整形依存症という言葉の方を聞いたことがあるかもしれない。このような状況になったのは、美の追求ではなくこころの病であることを知っているだろうか?ありのままの自分を受け入れることができない方へその辛さを溶かしてくれる著者からのメッセージがつまった本著である。
整形依存症になるのは、整形した後の自分も受け入れることができず美容整形を続けてしまうことからだそう。他者からの一言で自分は醜いという自己評価を抱く人もいれば、こうありたいという理想像にたどり着けない自分に劣等感を抱く人もいる。根底はどのような自分でも受け入れることができないというこころの病である。
こころの病は服薬と対症療法で治療が行われる。お薬は万能薬ではなく、最終的に回復に向かうのは自分自身にあると著者は言う。常に自分自身に答えがあり、回復に向かうための力は自分自身にあるということである。その力をレジリエンスと言う。
レジリエンスとは、ばねのように困難な状況にあってもその状況に適応できるように対応させることのできる個人の能力のことである。内から湧き出てくる考えや外部から与えられた考えから攻撃を受けても、レジリエンスがあれば尊厳を傷つけられるようなことがなくなるし、傷ついてもすぐに復活することができるのである。本著ではレジリエンスを高める思考パターンについて述べている。全ての人は自分の思考を変えることができる力を秘めているのだ。そして著者はそれを信じている。
本著の良い点はそれでも美容整形を受けたい場合に美容整形を受ける際の医者選びや医者との会話の要点について書かれていることだと思う。決して美容整形を全面批判しているわけではない。人によっては美容整形を受けることがこころの病の治療となることもあるからだ。否定せずに選択肢を多く提示し、選択の機会を与える。この点に著者の人となりが現れていると感じた。