本書では、「長期的な見通しを持って行動するのが大切だよ!」というのを、具体例をふんだんに集めて解説している。この本の内容は、僕にとって、当たり前すぎるくらい、当たり前の内容が書かれている。僕自身筋トレや毒女、数学、物理学の勉強、瞑想を散々続けてきた。そもそも、何かを始めたり続けたりしてると、思い通りにいかないことが多いから、失敗咎めたってしょうがないじゃん、と思うのだが、どうやら世の中は違うらしい。この本を読んで、改めてそれを感じた。
この本でのポイントとして、まず具体例を沢山集めている、というのが挙げられるだろう。つまり、筆者の思いつきではない、ということだ。より説得力を持たせるために、多くの人の出来事を載せているのだろう。そんな彼ら全員に共通している点が、「長い間、失敗してもひたすらにやり続けたこと」である。つまり、この本が伝えたいことと言うのは、「失敗を再定義する」という項目があることからも考えて、「1度上手くいかなかったくらいで、やめるなよ。まだまだゲームは始まったばかりだぜ」であると思う。
また、全員では無いが共通する点がある。それは、思わぬ偶然で何かを手に入れている点である。例えば、夕食会を開いた時にプロジェクトを頼まれる、ニュースレターを書いていたら本の執筆の依頼が来た、などである。これは、僕自身経験があるので、非常に納得する話だ。つまり、自分から質の高いコミュニティに飛び込んでいくと、能力を思わぬ形で拾う人がいる、ということらしい。ではどうするのかと言うと、自分の能力を使って、何かしらの価値を提供し続けることらしい。これは非常に共感している。要は、自分から何か施すことが、自分でも予想しなかったリターンを得られることがある。アダム・グラント教授も言うように、「何かを与える人は、与える相手さえ間違えなければ、頂上に行ける」である。見返りを期待することなく行動するのが重要らしい。
そういうことを踏まえての「長期的な視点」というふうに筆者は伝えている。僕は元から「大局的に見る」「将来的な見通しを感じながら、頭の中で見ながら戦略的に生活している」ので、分析的な書評にした。しかし、これを意識していない人からすると、目からウロコの本であろう。僕自身、再度確認するいい機会になった。
よって、1度この本を読むことをおすすめする。
参考文献
ドリー・クラーク(2022) 『ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために』 桜田直美(訳) ディスカバー・トゥエンティワン
書評者:大隈知広