1996年から英国ブライトン在住の
ライター•コラムニストのブレイディみかこさん。
彼女が2019年に書いた著書、“ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー“の中で登場する『エンパシー』という言葉。
『シンパシー』を【共感】と訳す。
では、“エンパシー“は何と訳す?
エンパシーの適当な日本語訳はなく、著者は『エンパシー』を【他者の靴を履く】ことだと述べる。
『エンパシー』とは、他者に共感するのとは少し違い、他者の靴を履く、つまり、他者の視点に立ってみるということ。
また、エンパシーはability(能力)であり、訓練で育むことが可能で、
小さな頃から学び、実践をすることが大事。
本書は『エンパシー』について深く考察しており、エンパシー万歳、エンパシーがあれば全てうまくいくという考えは短絡的で、現にエンパシーは危険性や毒性を持ち得るものだと主張する論者もいると紹介している。
大事なのは、“わたしがわたし自身を生きる“という【アナキズム】と、“他者の靴を履く“という【エンパシー】を上手く調和させ、生きることだと著者。
(アナキズムがないと、他者の靴を履くことで、他者に深く共感しすぎ、自我を失ってしまうリスクがあるの
だ。。)
アナキズム、エンパシーなど、難しい概念を1冊まるまる319ページをかけ、解説した本書。
哲学書好きな人におすすめです。
他者の靴を履く
-アナーキック•エンパシーのすすめ“
作者:ブレイディみかこ
発売日:2024年5月10日初刷発行
メディア:文庫本