HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】意識とは何か?を考える『解明される意識』

意識とは?という問いに対して、著者のデネット氏が西洋哲学の長い伝統を背景に、心理学・神経科学・動物行動学・成員医学・コンピュータサイエンス・認知哲学などを総動員して、予備知識がなくても読みやすく伝えている本である。しかしながら600ページに及ぶボリュームなので、読み始める前にデネット氏の主張を動画や解説記事などを踏まえてから読むことをお勧めします。また本のタイトルが『解明される意識』であり、『解明され”た”意識』では無いことを前提に読んで頂きたいです。

1983年に行われたベンジャミン・リベットの実験で、我々がある動作をしようとする意思決定の0.35秒前には脳から電気信号がでているという結果が出て、人間に自由意志はあるのか?という議論が行われた。その結果を批判しながらデネット氏の主張としては意識を以下のように捉えています。

意識の流れが1点に集まって中心の参謀本部のような単一的な意識の流ればどこにも存在しない。脳内の様々な場所で交錯・生まれたり消えたりする百鬼夜行状態から現れてくるものである。その構造を「多元的草案モデル」という表現を用いているところも面白い。

この構造は複雑な計算をするコンピュータを繋ぎ合わせた状態に近くなっている為、コンピューターに意識は生まれるのか?という大きな問いに対して、今後のコンピュータの発展によって意識は作れるようになるかもしれないと感じさせてくれる本であった。

著者名;ダニエル・C・デネット /  山口泰司(訳)
出版社:青土社
発売日:1998年1月20日