「君は繊細過ぎるんだよ」「気にしすぎ」「もっとメンタルを強くしなきゃ」...幾度となく僕が言われてきた言葉だ。4年前の僕は、本書に出てくる性格特性を全く知らなかった。自分のメンタルが弱いと思い(実際はそうだったが)、筋トレや瞑想を続けてきた。メンタルの弱い自分を何としても直して、動じない心を手に入れたかったからだ。しかも、疲れというのも、神経がすり減り消耗するような疲れだ。これも、筋トレや瞑想が解決すると思っていた。ところが、いくらトレーニングしても、一向に改善しなかったのだ。相変わらず緊張しやすいし、頭でかなり考え込むし、きびきびとした行動はできないし。自己嫌悪にまで陥っていた。そんな中、メンタリストDaiGoさんがDラボでこの本を紹介していた。そう。本書は「HSP」について書いたる本だ。「高度に敏感である人」の意で、しかも、心理学者が論文に基づいて書いている。なので、信憑性も高い。僕は、多くのことに敏感で、ポジティブにもネガティブにも大きく振れる。この本の知識で、今の生活が刺さられていると言いても過言ではない。今回は、僕がこの本で使っているテクニックを紹介しよう。
僕自身気を付けているのが、働く時間だ。これは僕にとって重大な問題で、日本では8~9時間拘束が当たり前となっている。しかし、僕は4時間も職場にいるだけでかなり消耗するのだ。この本では、働くことに関して、「短時間で働くのがあなたの課題だ」と言い切っている。ここが僕にとっては爽快で、「自分に会わないことには従う必要はない」ということを、教えてくれたのだ。何故、ここまで言い切っているのかというと、「長く働くことあ、他の人がやってくれる」からだという。確かに、言い方は悪いが、長時間働く人なんて、この世の中には多い。僕の代わりに、やってくれる人がいるのであれば、任せるのが合理的である。なので、この言葉を本で読んだとき、心底楽になった。
また、もう一つ、この本で重要なのは、「多くの人が敏感性と内気を混同している」という点に言及している点だ。確かに、「敏感性とメンタルの弱さ」を混同してる場面を僕も見てきた。この本によると、敏感性というのは、脳の神経が反応しやすいということを心理学的には表している。対して、内気というのは、「社会からの拒絶に対する恐怖から生まれるもの」である。なので、この「敏感性」というのは、違う概念なのだ。また、「メンタルが弱い」というのも違う。確かに、敏感でメンタルが弱いという両方の特性を持つこともある。しかし、メンタルが弱いというのは、「神経症的傾向が高い」と表現し、「心配しやすい」「すぐ落ち込む」「恐怖を感じやすい」などの特性を表す。なので、敏感性とは近いが違うのだ。そのことを、本書は教えてくれるので、僕自身の評価は高い。実に分かりやすい本である。
この本は、アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロンという人が書いた本である。彼女自身、かなり敏感だと公言しており、HSPの特性を持つ人に向けて、カウンセリングを実施したり、講演を実施したりしてきた。本書には、HSPの尺度を測る診断テストおあり、大体の自分の敏感性を確認できる。もちろん、そこまで敏感じゃない人も読むことで、敏感性が高い人の特徴や接し方が分かるので、多くの人にお勧めできる。
僕は、この本が大いに参考になった。ぜひ、手に取って、ご一読いただきたい。
参考文献
エレイン・N・アーロン(2020)『敏感すぎる私の活かし方―高感度から才能を引き出す発想術』片桐恵理子(訳) パンローリング