HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】商売人の気遣いが学べる 『ビジネスで大切なことはみんな吉祥寺の焼き鳥屋で教わった』

著者は、27歳まで定職につかなかったばかりか多重債務をこしらえた社会的落伍者。
そんな駄目人間は、結婚を機に心を入れ替えて不動産業界でがむしゃらに働きだした。
著者がこの業界を選らんだ理由は、不動産が好きだったからでも知識、知縁があったからでもない。
高収入を得られる業界を取捨選択した結果、残った業界だったからである。

高卒、資格も実績もない新入社員。新人に対して丁寧な指導がない業界で、先輩社員と上手に折り合いをつけて数年でトップ営業マンにのし上がった。
著者の大きな助けとなったのは、父親が営んでいた焼き鳥屋を手伝っていた経験だった。

飲食店がひしめき合う吉祥寺駅周辺。激戦地で父親が35年間繁盛店を維持できたのには理由があった。
提供する食品やドリンクの原価率の管理はもちろん、来店者が居心地いいと感じる雰囲気づくり。もしくは、来店して欲しくない人への見極め及びお断り。
常連さんをつなぎとめるに役立つ旅行や競馬場ツアー。年末の大掃除まで恒例イベントにすることで常連さんを巻き込みファンを獲得していた。

この本は、小さな駅前の焼き鳥屋の大将が店を繁盛させるために考え抜いた数々の接客ノウハウが書かれている。
著者が店の手伝いをしていたのは幼少期から中学生の頃。
当時は「そういうモノか?」と思っていたことだが、社会経験を重ねるにしたがい、大将の意図が見えてきた。大将が実践していた気遣いを顧客や同僚とのコミュニケーションに活用することで、収入を増やし社会的にも成功を収めることができた。

大将の商売人としての才覚、客への気遣いの奥深さに膝を打たずにはいられない。楽しく学べる良書である。

『ビジネスで大切なことはみんな吉祥寺の焼き鳥屋で教わった』
作  者:玉岡一央
発売日:2023年3月28日
メディア: 秀和システム