人間関係は星座みたいだと思ったことがある。近い星も大事だけれど、様々な距離の星がなければ星座はできない。そして、それぞれの距離にそれぞれの良さがある。著者の二人は、最適な距離を保ちながら光る二つの星のようだ。
本書では、20代の頃からIT事業で「最高のコンビネーション」として活躍してきた二人が、「ハートの強さ」について語っている。二人は「正反対の性質を持つ凹凸コンビ」であり、「洗面器から最初に顔を上げた奴が負ける」という麻雀哲学を持つ藤田氏は、じっと静かに耐える「忍耐力」を重視する。一方、今ここに全集中して０に１を足すことを繰り返すことで、確実にハートは強くなるという堀江氏は、動・動・動を要とする。多くの人がハートを強くしたいと望んでいると思うけれど、心を鍛える方法は一律ではなく、それぞれの個性に適う方法があるのだろう。
とはいえ、二人とも会社経営が傾いたり、世間のバッシングを浴びたり、獄中を経験したり、これまでの道のりが順風満帆ではなかったことは共通している。そのひとつひとつの試練に「へこたれずに前を向いて進むこと」を幾度となく積み重ねた結果が、結局のところ「ハートの強さ」なのだと伝わってくる。具体的なエピソードは挙げたらキリがないくらいどれも興味深い。
