近頃フィクションに食指が動かない。理由はおそらく新型コロナウイルス蔓延後、「事実が小説よりも奇」となってしまったからだと思う。少しでも現実に近いものとして選んだ作品がこれだ。
舞台は、富士山麓の美しい街・S県横走市。主人公はこの街で働く美人医師。駐屯している自衛隊員が吐血し昏倒するところから物語は始まる。同じ症状の患者が次々と亡くなる。
緊急事態宣言、保健所の混乱、濃厚接触者の自宅隔離など。4-5年前の作品だが、現在の世界と重なる部分も多い。
「リウー」とは、仏作家アルベール・カミュの小説『ペスト』の主人公の名前である。また「〜を待ちながら」は不条理演劇『ゴドーを待ちながら』とかけている。
コミックス3巻完結で展開が早い。また、登場人物たちもそれぞれ魅力的で人間模様も惹かれる。