小泉内閣で大臣を務めていた竹中平蔵氏の著書。あらゆる情報にすぐにつながれ、知識の価値が急落した現代は、考える力が重要になっている。その力をどのようにして鍛えるのか、実践を交えて教えてくれる1冊である。
考える力を養うために、「川を上り、海を渡る」ことが大切とのこと。川を上るとは、モノの成り立ちや歴史的経緯を探ること、海を渡るとは、他国と比較することである。時間、世界、という軸で、問題に向き合うのだ。
なぜ牛乳パックが四角いのか、ご存知だろうか?著者はこの問題に対して、「川を上る」方法での考え方を説明している。
底が四角いメリットは、無駄なく隙間なく並べられること。牛乳はジュースと違って腐りやすく、輸送時も販売時もずっと冷蔵庫に入れなければならない。だから牛乳は、冷蔵庫に並べやすいよう四角い形をしているのだ。
なるほど、と感じた。すべてのモノや形に意味があるということを体感できたし、こういった考え方をしていけば、世の中の見え方が変わってきそうだ。
すぐに思考停止してしまうのではなく、深く深く考える癖をつけていけば、発想も気持ちも豊かになりそうな気がしてきた。