前作の『破天荒フェニックス~オンデーズ再生物語~』では、著者が経営するOWNDAYSのアップダウンの激しいストーリーに、その瞬間、瞬間ワクワクし、本を読む手がなかなか止まらなかったが、本作はまたひと味違った面白さがある。
前作では語られなかった著者の経験から培われた考え方や社員に伝えてきたメッセージ等がまとめられている。実際に経営をしていると毎日色々なことが起こり、ボロボロになりながらも、そこから様々なヒントが得られるそうだ。
評者もここ最近、破天荒フェニックスさながらの経験をしている。OWNDAYSとは、売り上げも、負債の額も比べられないほど少ないが、日々ハラハラが止まらない。上手くことが運んでいくと、思わぬところから阻止されたり、なかなか前途多難だ。前作を読んでいた時には、想像もしていなかったが、行動してみると、今まで見えていなかった様々なことが明らかになり、著者の言うように、この経験から得られることは多い。
また、OWNDAYSでは、著者の考えにより、とてもユニークな取り組みが行われている。例えば、出世のために上司に気を使う権力構造をなくすために、人事権をなくし、立候補による選挙制度を導入。出世のチャンスは誰にでもあり、かつての上司が自分の部下になるということも起こるのだ。
テクノロジーの進化により、人が行なう単純作業が必要なくなる。そんなときに必要になってくるのがエンターテインメントだと著者は言う。それは、人を喜ばすことであり、メガネを売ることもエンタメになるそうだ。新作のサングラスをかけながら食事をするコラボイベントは、なかなか思いつかないとてもユニークなイベントだと思った。
世の中のほとんどの仕事は遊びに変えられる。遊んでいるときは誰でも楽しい。だからそれを真剣にやればより楽しくなる。仕事もそのように向き合えば楽しく充実したものになるそうだ。労働が仕事という考え方から、その仕事は自分の使命なのか。自分のやりたいことなのかと、今一度自分の仕事について振り返ってみることを著者はすすめている。
『破天荒フェニックス~オンデーズ再生物語~』
https://bookrev.horiemon.com/entry/2018/12/28/220008