表紙を開くと、ブックカバーに大きく書かれた文字が目に飛び込む。
ーーーーーーー
睡眠不足
栄養不足
運動不足
世の中の三大害悪ですから覚えておいてください。
ーーーーーーー
どれも私が疎かにしている生活習慣だ。
睡眠時間は日によって違うし、作業に没頭していると食欲を忘れご飯を食べないときがあるし、運動は子どもと公園で遊ぶくらい。
この生活習慣がメンタルに悪影響を及ぼすことは薄々わかってはいたが、改めて本書で指摘され襟を正す思いに至った。
本書は一つ一つの言葉の選び方にパワーがある。
「永遠に生きると思って食事を管理しろ」
「睡眠時間を死ぬ気で確保しろ」
「悪いことは言わないからとりあえず運動しろ」
さすが、Twitterのフォロワー110万人を超え、ひとつのつぶやきに数千〜万単位のいいねがつくTestosterone(テストステロン)氏だ。
もっともコストパフォマンスが高いのは、治療ではなく予防。
最高の予防は食事・睡眠・運動の生活習慣。
我が子には「何でも食べて、たくさん遊んで、ぐっすり眠ると元気に大きくなるよ」と常日頃伝えている。
私自身の生活習慣はさておき、子どもたちの精神的な安定を育む方法として間違ってはいないようだ。
信憑性の疑わしい「〇〇には☓☓が効く」といった情報が溢れる中、本書で紹介しているエビデンスは信頼度を数値化して提示しているのも素晴らしい。
スポンサー企業が欲しいエビデンスを作為的に作り出す研究もあるので、エビデンスは「ある」「なし」ではなく「強い」「弱い」の軸で評価するという考え方である。
第2部では適応障害やうつ病など7種類のメンタルヘルスの問題を漫画を挿入し解説している。
登場人物の描写が具体的で、それぞれの症状が引き起こされる環境や状況がよくわかる。
心に不調をきたすと、自分自身を責めがちになる。しかし、正しい知識を備えることで早めに客観的な判断や対処の仕方を教わることができる。
心身ともに健康でいたい人に適した本である。