シェイクスピアは「ハムレット」や「ロミオとジュリエット」などの代表作で知られる世界的劇作家である。しかし、彼のプライベートは、謎のベールに包まれていた。
なぜなら、当時の劇作家は、あらゆる書物に精通し、音楽や聖書、神話、ラテン語さらには大学で学んだという学識が求められていた。しかしシェイクスピアの学歴や知識からは、想像できないような素晴らしい作品を作り上げていたため、「シェイクスピア」とは、一座の劇作家達が使っていたペンネームなのではないかとも言われている。
そこからの発想なのか、本書ではロンドンで謎の共同生活を送る7人が、詩、商才、学識、音楽等のそれぞれの才能を結集し、あの「ヴェニスの商人」を作り上げていく。
当時の演劇は、老若男女問わず貧富の差も関係なく誰もが楽しめる娯楽の一つであった。日曜日以外の週6日公演、入場料や座席による価格設定、飲食物の販売など当時から娯楽も、一つのビジネスとしてうまく考えられていた。
その一方、現在の日本は演劇やミュージカル、オペラ等を楽しむことが、海外と比べてまだまだ人々の日常になっていないように感じる。映画館には、誰でも気軽に足を運ぶが、演劇となると見に行く人の層は急激に減っているように思う。
恐らく、単に馴染みがなく行きづらいだけなのかもしれない。しかし最近はチケットの入手もとても簡単だ。インターネットでの購入はもちろんだが、購入から入場までスマホででき、電子チケットのため、紛失や忘れる心配もなくとても便利なサービスもある。
評者は一時、毎週のようにミュージカルやオペラなどを観に行くほど夢中になっていた。もちろん座席も、オーケストラからボックス、スタンディングまで経験してみた。
やはり演劇の醍醐味は、生で迫力ある演技が観られたり、歌声を聴くことが出来、素晴らしい衣装や舞台装置を間近で確認できるということだ。そこには、普段得ることができない大きな感動と演者からの激しい熱量が伝わり、いつまでも続く記憶として残る。
また多くの演劇は、歴史的建造物や豪華な空間の中で行われているため、誰でも手軽に非日常空間を楽しめ、その雰囲気にも魅了される。普段、演劇に馴染みのない人でも、本書を読むことにより、演劇の歴史や雰囲気を味わい、観劇や作品作りの面白さがわかる。これをきっかけに日本でも多くの人々が日常的に観劇を楽しめるようになることに期待する。
7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT(1) (ヤンマガKCスペシャル)
- 作者: ハロルド作石
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/04/06
- メディア: コミック
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