【書評】終盤に記されている答えにゾッとする『誰がアパレルを殺すのか』

アパレル業界に対してどんなイメージを持つかと問われれば、つい斜陽産業という負のイメージを連想してしまいがちだ。しかし、実はそうではない。“アパレル”と一括りにした総称の中では、今まさに大転換期を迎えている。本書はアパレル業界の中で沈みゆくビジネスモデル、今後長く息をし続けるビジネスモデルについて、業界の歴史や構造を踏まえながら記されている。

“アパレル業界は大変だ”と、対岸の火事を眺めるような意識でいてはいけない。本書は茹でガエル業界に属する全ての人に読んでほしい。あなたの業界の構造の歪みが可視化されるのはもはや時間の問題だと思われる。過去から業界の構造や自社のビジネスモデルが変わっていなく、変化が無いことに特別な理由がなければ要注意だと思われる。おそらく現在進行形で状況は悪化しており、顕在化した時には危機を回避できる状況ではないかもしれない。

誰の手にもスマホが握られている現在、人の購買活動は大きく変わった。言葉を選ばずに言えば、たかが物を買う程度のことはスマホ片手で事足りる時代だ。そのような変化の中、再度あなたやあなたのビジネスにこう問いかけてほしい。
「あれ？このままでいいんだっけ？」
本書はその問いをあなたから引き出してくれる。