HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】浮世絵以上に愛されている 『琳派~ジャパノロジーコレクション~』

琳派は、日本を代表する古美術の一つの流派であり、日本の美の典型ともいわれている。またジャパノロジーとは「日本を総合的にとらえることを目的とする学問」である。

私たちの身近な「琳派」は、絵画のみにとどまらず、きものや風呂敷、茶碗やすずり箱、蒔絵などの工芸品等にも多くみられる。また最近では、多くの外国人が来日していることもあり、文房具や和菓子等のパッケージのデザインにも利用され、琳派は実際に人々に使われている「生活の中の美術」なのだ。

海外での「琳派」は、アールヌーヴォーにも大きな影響を与えたため、美術館や博物館で多くの作品を所蔵し、海外で「RIMPA」といえば「UKIYOE」と同じぐらいまたは、それ以上に人々に愛されている。

琳派作品の特徴は、草花や鳥など四季の自然のものを多く取り入れ、表現してきたことから、日本の美の象徴ともされている。また、金銀を多く使いとても鮮やかだ。国宝「風神雷神図屏風」は、空前の傑作とも言われ、琳派を象徴する作品となっている。本書でも一番最初のページに掲載され、琳派を知らない人でも、教科書で目にしたことのある作品の一つである。

また、もう一つの特徴として琳派は「私淑」で繋がってきたことだ。多くは、世襲や師弟関係で流派が継続していくが、直接の指導がなくても、先人を「心の師」として尊敬し、インスパイアされた作品に自分の画風を取り入れるというスタイルで、400年という時を超えて繋がっていく、それも世界中の人々から高い評価が得られる所以でもあるのだろう。

本書では、紹介された琳派作家の系譜と作品が、掲載されているため琳派の歴史とその時代背景と共に理解を深めることができる一冊である。