「チューズ!チューズ!」そんな言葉を言いながら、メニュー表を指差し外国人に語りかけるお婆さんを見たことがある。場所は築地、定食屋の店先だ。
築地市場は海外からの観光客が多く、周りの居酒屋や定食屋は必然的に彼らとコミュニケーションを取る必要がある。しかし完璧と呼ばれるような英語力は必ずしも必要でない。築地にいた定食屋のお婆さんがまさにそうだ。彼女は恐らく英語での日常会話、ましてや世間一般で言われるビジネスでの会話はほとんどできないだろう。だが、それで問題は無いのだ。およそネイティブの語彙力に近づける必要はなく、メニューの中から食べ物を選び、店内で食べ、終わったらお金を払うというシステムだけ伝えられればいいのだ。
近年は語学留学の機会が増え、大学においても4技能をはかる英語の入試が増えている。一方で“英語を学ぶ”ということに対しては依然 精神的に高いハードルを感じるのは私だけではないだろう。ハードルというよりも、実際にはもっとモヤモヤしたものだ。本書で触れているが、確かな目的がないと英語学習は続かないし、上達はしないのだ。先の築地の話であればお婆さんには“海外からの観光客にお店の定食を食べてもらう”という明確な目的があった。だからこそ、その目的にそぐわない語彙は知る必要はない。学びにも無駄がない。
目的は真面目である必要はない。広瀬すずに会いたいでもいい、とどのつまりはワクワクできるような目的があれば、学びの中で感じるハードルは超えられる、努力とさえ思わないのかもしれない。本書ではそんなワクワクする目的にどう近づいていくか、様々な学びのエッセンスが散りばめられている。英語を諦めてしまった人は、ぜひこの一冊を手に取ってほしい。

- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: ディーエイチシー
- 発売日: 2018/08/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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