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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】いつか沖縄旅行する際の楽しみに。『本屋になりたい: この島の本を売る』

本書は沖縄県那覇市第一牧志公設市場の向かいにある“市場の古本屋ウララ”の店主 宇田智子氏による書籍だ。彼女は大型の新刊書店に約9年勤めたのち、現在の古本屋を開業している。

本書ではウララでの日常をもとに、古本屋の仕事やその魅力、不安などが自身の経験をもとに綴られている。また、古本屋を通じて知れる沖縄の地域性も語られている。書籍が読者の手に渡るまでの文脈も丁寧に説明されており、読書を趣味とする人間には好奇心が優しく擽られる。

古本屋には大型の新刊書店とは違った良さがある。古本屋が書籍を仕入れる方法はお客さんからの買取、古本市での競り、他の古本屋での購入、いずれにしても古本屋は古本との出会いに受け身にならざるをえない。ただし、ジャンルも時代もあらゆる古本が出回る中、大切にされているのは“自身の古本屋に置きたいものはどれか”という目だ。仕入れたらそれで終わりではなく、限られた場所の中にどの書籍をどのように配置するのが良いか考え、書籍が購入される度にその編集作業は続く。場所や古本という、制限がかかることで流動性が高まるというのはとても面白い。その店の色がどのように収集されている書籍に表れているのかという視点で古本屋に行ってみたい、そう思わせてくれる一冊だ。

沖縄には数年前に一度だけ旅行に行ったことがある。二度目は海や名所だけでなく、ウララも計画の中に入れてみたい。本屋になりたい: この島の本を売る (ちくまプリマー新書)