星野リゾートは旅館・ホテルの運営会社である。長野県軽井沢町で創業し、4代目の経営者である星野佳路社長は、顧客満足度アップと収益力向上の両立を掲げ、会社を成長させてきた。そして、この10年で軽井沢の老舗企業から、全国でリゾート施設を運営する企業へと変身を遂げている。
本書は、星野社長が実行した経営戦略の参考となった「教科書」についてピックアップし、星野社長流の「教科書の生かし方」を明らかにしている。
なぜ、教科書通りに行うのか。
それは、企業経営には、経営者個人の資質に基づく“アート”の部分と、論理に基づく“サイエンス”の部分があり、星野社長は自らを“アーティスティック”な経営判断を行う人間ではないと考えているからである。
もう一つは、経営判断を謝るリスクを最小にするためである。
では、どのような本が「教科書」となるのか。
多くは米国のビジネススクールで教える教授陣が書いたものであり、裏付けがしっかりしているものである。理由は教授らがコンサルタントを兼ねて学問と実践の間を行き来し、膨大な調査によって理論を実証している場合が多いからである。
どのように「教科書」生かしているのか。
ステップ① 「本を探す」
自社が抱える課題をもって、「解決に役立つ本」を探しに行く。
書棚に1冊しかない古典的な本ほど、役に立つ。
ステップ② 「読む」
1行ずつ理解し、分からない部分は残さず、何度でも読む。
これは「自社にどのように当てはめれば良いか」を考えながら読むこと。
ステップ③ 「実践する」
理論をかいつまんだりせずに、100%教科書通りにやってみる。
このステップを通して、星野社長は経営戦略を決定している。
本書には、“現場スタッフの判断の質を高めたい”、“大ヒット商品のかげり”、“人材がどうしても集まらない”など、星野社長が直面した課題がいくつも挙げられており、「抱えていた課題」「解決への取り組み」「他分野への応用」、「参考にした教科書」と項目を分け、詳細に解説されている。
著名な経営者の「人間力」などの“アート”な部分ではなく、”サイエンス”で勝負したい人にオススメの一冊です。
「教科書通りの経営は、自分の直感を信じれない時に、経営判断の根拠となり、ブレることなく、自信を持って頑張る勇気を与えてくれる。」
これが著者のメッセージです。
- 作者: 中沢康彦
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2010/04/15
- メディア: 単行本
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