本書の著者、川口能活はサッカー日本代表でゴールキーパーという特殊なポディション勤めた。長い間に渡り、W杯に導かせた立役者である。今なお、現役を続け、たくさんの喜びや、苦難を記された書籍となっている。
Jリーグで活躍し、日本代表へと抜擢され、その後、海外へ渡ったのち、J2、J3へと自分の戦いの場がランクダウンしてきた。その状況の中で、いろいろなことがあって当たり前なのが人生。試練なのか、課題なのか、壁なのか、そういうものは常に個人の前に現れる。それにどう向かい合って、どう苦しむか。もがき苦しむことによって風向きが変わり、光が見えてくる。光が射してきたとき、逃さないようにすること。それが大切である。
さらには、努力をやめて投げ出してしまえば、状況は何も変わらず、誰かに見て見てもらえることもない。そうなれば転がり落ちていくだけになってしまう。そうならないためには、あがくようにしてでも、やれる限りのことをやっていくしかない。そうしていなければチャンスはやってこないのである。
日本が初めてW杯に出場したフランス大会では、最終メンバーから三浦和良さんが外された。本人は胸が張り裂けるくらい辛い思いをしたはずだ。カズさんはあの挫折をエネルギーにしたからこそ、今も現役を続けているとも考えられる。そういう経験があるから、他の人にはない深みを持つようになれたのかもしれない。
スポーツ選手に限らず、私たちの人生もそうだが、ずっと右肩上がりということは絶対にありえない。厳しい状況になったとき、どうしていくか。這い上がろうとするなら、その姿を見せていく。そういうところから”生きていくとはどういうことなのか”を感じとった。