まず、前置きをさせて頂きたい。
本を読む理由は、知識を付けるためと、考えるための2つあると思う。
普通書評は、考えるための読書をして、
その結果として、良かった本、様々な事を知れ考えれた本について書くものだと思う。
しかし、働く上で特定の領域の知識を短時間で身につけなくてはいけない事はある。
そんな時にも、本を読むことは大変有意義だと思う。なので、本書の書評を書く。
このことを踏まえ、
今回は『金融商品取引法入門』を紹介する。
この本を読んだのは仕事でバーゼル規制について触れることがあり、日本版バーゼル規制の存在を知り、バーゼル規制の基本となる金融商品取引法について、知りたいと思ったからである。
まず、金融業に必要なことは何かが書かれている。
金融業の本質は、2つ。
資産の貸借とリスクの移転である。
この2つを円滑に行うために、2つのことに気をつけなくてはならない。
1つ目は、市場の流動性と効率性である。
市場の流動性とはいつでも資産の売買が行える状態のこと。
(逆説的に、資産の売買が行えない資産は誰も持とうとしない)
効率性とは、資産の価値が正しく評価され値動きすること。
(これも逆説的だが、リーマン・ブラザーズの破綻が市場にタイムリーに反映されない市場では誰もその市場を使わない)
2つ目は、市場の適当性である。
市場の運営が適切に行うこと。
(これまた、逆説的になってしまうが、市場で多額の資産を売買しているにも関わらず、市場が適切でなく誤った方法で運営されていたら、だれもそんな市場は利用しない)
この2つを踏まえ金融商品取引法は、
大きく分けて3点について規制を行っている。
1.企業の情報開示
2.不正取引の禁止
3.金融商品取引関係機関の規制
まず、企業の情報開示については、よく企業が守るべき法律は、会社法と金融商品取引法と言われるが、金融機関を除いては企業が守らなければならない金融商品取引法の内容は、この開示規定だけである。決まった事項について企業は適切に開示しなければならない。
次に、不正取引についてだ。
これは一般に言われるインサイダー取引の禁止、相場操縦の禁止、損失補填の禁止のことだ。
損失補填の禁止は、証券会社が一部の大口顧客の損失だけを補填を行っていたことを発端に、取引の自己責任の原則に反するとして、明文化されたものだ。
最後に、金融商品取引関係機関の規制である。
広告の規制や誠実義務等の適切な市場運営を行うための規制がある。
本書を読むとバーゼル規制が関わるのは、企業の情報開示規制の所だけだとわかる。
また、このようにまとめてみると、仮想通貨により溶けつつある金融の世界が俯瞰でき、大変有意義であった。
(例えば、「仮想通貨市場の運営責任って誰が取るの?」等。)
この本は面白いかどうかは個人により、
決して読みやすい本ではないが、
私にとって短期で上記のような体系的な知識を授けてくれた本書は大変良い本であった。
『金融』に興味があれば読んで体系的な知識を得てほしい。
注:上記内容は個人が本を読み理解した内容であり、実際の法とは異なり間違っている場合があります。