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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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通貨をいかにデザインするか?『地域通貨で実現する地方創生』 著者 納村 哲二 (幻冬舎、2016/9/9)

全国で発行されている様々な地域通貨を紹介し、地域通貨が地域経済の活性化と地域コミュニティの活性化に有用であることを書いた一冊。

法定通貨以外の通貨の中でビットコインについては様々な書籍が出版されているものの、それ以外の非法定通貨に関する書籍はあまり見かけない。そういう意味で、本書は非法定通貨の特徴をビットコイン以外の側面から学ぶことのできる貴重な一冊である。

私自身、法定通貨との違いだけでなく、ビットコインとの違いも意識しながら本書を読んでみた。

地域通貨の特徴は主に以下の3点であると著者は言う。

1.法定通貨には①交換価値、②価値尺度、③価値保存の3つの機能があるが、地域通貨はこれら3つの機能を制限している(例としてはプレミアム地域商品券)。

2.ボランティア活動からでも入手可能であり、非経済活動からも地域活性化や地域コミュニティ活性化が生まれる仕組みを持っている。

3.儲かるから流通させようというものではなく、この地域ポイントを利用して地域を元気にしたいという「思い」から始まる。

読んでみると、インターネット技術をうまく活用する非法定通貨である点は同じながら、地域通貨ビットコインとではだいぶ中身が違う。

法定通貨は物々交換で生じる不便を解消するために発展してきた歴史があるが、逆にその便利さゆえの弊害に着目している点は地域通貨ビットコインとでは違いを感じる。また、コミュニティ活性化や思いという観点を大事にしているところも大きな相違点だと思う。

結局、お金とは何か?この問いに何と答えるか。その違いごとの通貨をデザインすることが今や可能なのかもしれない。

地方創生に関心のある方はもちろん、お金について考えてみたい人、ビットコインに関心のある人も読んでみる価値があると一冊だと思います。