向き合う業界を“戦場”、向き合うことで置かれる状態を“孤独”としている、本書からは著者の言葉を通した覚悟が伝わってくる。消費者側からは華やかな側面の想像には硬くない業界だが、現実にはその想像は断片であることがわかる。著者の人生は再起の連続だ。
屋号を持つということは、同時に様々な問題が噴き出す。本書で特に重点を置いて語られているのは“人”という要素だ。お客様、スタッフ、そして自身。コントロールという手段では到底触れることができない要素で、唯一気持ちを伝えることができるものは、姿勢と習慣だ。著者はその根本を“感謝”としている。
本書を拝読しているうちに気づいたことが一つ、“言葉”の使い方をとても大事にされている。活字にしても抽象度が高いままであることは日本語の特性だろうか。いかようにも受け取られてしまうからこそ、子どものように大切にし且つ育てているようにも感じた。
気持ちは伝わらないことが常だ。その上で彼女に対して共感が生まれている人がいれば、その間には感謝と言葉が凛として立っているはずだ。