普通の恋愛、普通の物語、普通の漫画。
そういうものに飽きたときに読みたくなるのが『ノケモノと花嫁』です。
主人公の世羅ヒツジと羽熊塚イタルを中心に子供VS大人の世界を描いた一種の社会風刺漫画となっております。
幾原邦彦監督の作品は『少女革命ウテナ』然り『ユリ熊嵐』然りとても深いメッセージが込められており、『ノケモノと花嫁』も例外ではありません。
大人によって傷つけられた子供たちが反旗を翻し大人に裁きを下すため一致団結して立ち上がる。しかし主人公の2人は己の愛を貫くため子供も大人もない真実の愛を目指す…。かなり心に響く痛々しいメッセージばかりなのですが、それを思わせないテンションと勢いで話が進んでいくのでとても読みやすくなっています。
そしてなんと言っても中村明日美子先生の美麗イラストと、きっと好きな人にはドンピシャなゴスロリの少年少女たちが動き回る姿は見逃せません。
大人に反旗を翻した子供たちと、真実の愛を求める「ノケモノ」のロリータハードボイルド物語を是非その目で確かめていただきたいです。