本書は、考える能力において、「広げる」「まとめる」「深める」の3つを基礎的な力とし、頭をストレッチするような感覚で、思考の基本動作を身に付けることを目的とした本である。
3つ力を簡単に説明すると、「広げる」は、バランスよく、質のいいアイデアをたくさん出す。「まとめる」は、価値あるものにアイデアを絞り、活用しやすくする。「深める」は、考えの正しさ、考えに価値や意味があるかを確かめるとなっている。
これら3つの力は、さらに33項目に分けられ、いろいろな方法で考える能力を鍛えることができ、小さなテーマに対しても3つの力を使うように習慣づけることで、バランスよく考えることができるようになる。
また、本書で紹介されている手法は、以前に著者が在籍していたマッキンゼー・アンド・カンパニーで学んだことが基になっており、そこに先輩から教わったことや、自分で工夫したことなどを加えたものとのことだ。
私も常々、考えるということに関しては、「どうしてこんなに浅はかな考えしか思い浮かばないのだろう」というのが悩みのタネであったが、本書の33項目を一つずつマスターしていくことで、長年の悩みを解消できるのではないかと今思っているところだ。
自分では一生懸命に考えているつもりでも、結局は、ごく限られた自分の経験や知識の範囲内でしか考えていなかったということが度々ある。そんなとき、「どうしたら、あの人みたいな考え方や発想ができるのだろうか?」と思うことはないだろうか。本書はそういった方に、思考のベースとして、おすすめの本である。
水泳の本を読むだけでは、泳げるようにはならない。これは、考えることも同じで、本書を読むだけではなく、実際にやってみることで、考えることが楽しくなり、何でも自由に考えていけるようになる。
本書を手に取り、1日3分のストレッチ感覚で、思考の基本動作のトレーニングを初めてみては如何だろうか。