帯に「目の前の人を大事にする。」と書いてある。しかも、『"理想と現実"を両立させる仕事論』と書いてある…。「どういうこと??」この帯だけで、興味が湧いた。
私は、人を支援する仕事、常に人を大切に思う仕事をしている。すなわち、目の前の人を大事にする仕事をしている。
しかし、理想と現実を両立できず、いつも仕事の悩みは尽きない。
そんなときにこの本に出会った。
著者の影山知明さんは西国分寺で「クルミドコーヒー」を営んでいる。
「ゆっくり、いそげ」
どっちなんだと突っ込みたくなる題名だが、昔、字を書くときに「ゆっくり、早く、丁寧に」なんて言ってた先生を思い出した。先生曰く、ゆっくり、丁寧に書くことは結局のところ早く書けるのだと。
確かに、間違って何度も消すことも、汚くて書き直すこともないからだ。
著者は言う。一人一人丁寧に向き合って接客することを積み重ねていった方が、広告宣伝費を大量に使うことよりもお店の認知度や評判をあげることに繋がる。「急がば回れ」だと。
そうして、お店は西国分寺駅なんて辺鄙なところにあるにもかかわらず評判をよび繁盛している。
会社はボランティアではないが、仕事の仕方はボランティア精神に通じるのではないか。仕事に人をつけるのではなく、人に仕事ありなのだ。そこでスタッフも気持ちよく働けるとこのカフェでの実験も続く。
一見、無駄に思えるようなことも時間をかけ育てることはその先の利益を生むことに繋がる。
カフェ店主になって見えてきた仕事論が語られ、読了後自分の働き方にも影響を与える一冊だ。
ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~
- 作者: 影山知明
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2015/03/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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