HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】実スパイシリーズ2、スパイの実務がよくわかる!?『日本は誰と戦ったのか - コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ』

某アニメのようにイケメンスパイや美女スパイが出てきたかわかりませんが、スパイの工作によって政府の方針が操作されていたら、それは乗っ取られていると言っても過言ではないでしょうか。大東亜戦争(第二次世界大戦)中とその前後の秘密文書の公開やアメリ…

【書評】実スパイシリーズ1、公開されたアメリカ秘密文書。『ヴェノナ 解読されたソ連の暗号とスパイ活動』

スパイというと、某有名マンガorアニメを思い出しますが、今回は実際にあったスパイ工作についてです。時は第二次世界大戦前から後までです。これはアメリカで公開された秘密文章「ヴェノナ文書(Venona)」(※1)に基づいており、「ホンマに?」、さんま風に言…

【書評】憲政史上最長の政権は実現の理由は大きな挫折をしたからである。『安倍晋三 回顧録』

3188日という通算在職日数となった安倍晋三氏のインタビューを収録した本である。インタビューは合計18回・36時間に及んだが、あまりに機敏に触れるということで、一度本人が刊行を見送りました。結果としてこの本は、2022年7月8日の選挙演説中に凶弾に倒れ…

【書評】二つの書評の読み方『千夜千冊エディション 電子の社会』

日本文化や芸術から生命科学まで。知の宝庫であり、編集工学研究所所長、イシス編集学校校長、現在は角川武蔵野ミュージアム館長でもある著者・松岡正剛は、ネット上でブックナビゲーションサイト「千夜千冊」を20年以上続けている。本書はその中からテーマ…

【書評】冷たい社会への復讐と市民のための政治『社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人へ』

10年連続人口増加で様々な自治体から注目をされている明石市。その市長である泉氏の半生を綴った本である。彼は幼い頃に障がいを持って生まれてきた弟とその家族をとりまく冷たい境遇に強い憤りを感じ、これを原点として政治の道へと進んでいく。努力の末に…

【書評】冷たい社会への復讐と市民のための政治『社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人へ』

10年連続人口増加で様々な自治体から注目をされている明石市。その市長である泉氏の半生を綴った本である。彼は幼い頃に障がいを持って生まれてきた弟とその家族をとりまく冷たい境遇に強い憤りを感じ、これを原点として政治の道へと進んでいく。努力の末に…

【書評】教育の裏に潜む人の業(ごう)『いじめの聖域- キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録』

決して一言では言い表せない複雑に絡み合ったボタンと紐の掛け違い。何故それが生まれるのか、に焦点をあてなければ、この問題は解決しないだろう。 2017年に自殺をした高校2年生、いじめに悩むメモ。第三者委員会でいじめを認定するも、学校は不服として受…

【書評】少年院と境界知能の闇『ケーキの切れない非行少年たち』

<問題>丸いケーキを3人で公平に分けて食べる場合、どうやって切ったらいいでしょう? 少年院には認知能力が低く、このような問題さえわからない非行少年が多くいるという。書評タイトルの「境界知能」とはIQ70〜84の範囲を指す。それは、全体の約14%。35人…

【書評】変わらぬ人間の本質『超訳 ニーチェの言葉』

"自分の力の4分の3位程の力で、作品なり仕事なりを完成させる位が、丁度良いものが出来上がる。全力量を持ち、精魂を傾けて仕上げたものは、なんとも重苦しい印象があり、緊張を強いるものだからだ。(中略)しかし、4分の3程度の力で仕上げたものは、どこか…

【書評】あなたは宗教を目撃する!『ビジュアルではじめてわかる宗教』

400以上のビジュアル資料から世界の宗教を解説する入門書。日本にある主要でない宗教は途端にイメージできなくなるが、世界の宗教となるとなおのこと、言葉による説明では理解が追いつかなくなる。本書は宗教一般の章が一つと索引を備え、諸宗派の紹介や局所…

【書評】守れる命を守りたい『いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録』

甲子園の常連としても有名な名門高校。そこの2年生だった男子生徒が自殺した。遺族がただ再発防止策を求めるだけなのに対して、すったもんだする学校と県担当課を記録したノンフィクション。偽装提案にはじまり、第三者委の報告書受け取り拒否、さらには2017…

【書評】元祖フィギュアのカタログ『土偶を読む図鑑』

前作『土偶を読む』の完全ビジュアル版。発掘資料の速報や各地で縄文展が行われる中、ぜひさらっとでも目を通してほしい本である。豊富な写真やマンガからその独特な形態を解説し、著者の「土偶は縄文人の生業(ここでは「食料獲得のための労働」を指す)と…

【書評】現代の異端禁書『土偶を読む 130年間解かれなかった縄文神話の謎』

ここ数年をかけてじわじわと注目を集めつつある縄文文化。科学的な分析法の進化もあいまって、新しいアプローチによる研究成果が出されている。そうした中、素人玄人問わず議論を巻き起こしたのが本書。歴史の教科書に載る定説に根本的な問いを投げかけ、「…

【書評】現代の異端禁書『土偶を読む 130年間解かれなかった縄文神話の謎』

ここ数年をかけてじわじわと注目を集めつつある縄文文化。科学的な分析法の進化もあいまって、新しいアプローチによる研究成果が出されている。そうした中、素人玄人問わず議論を巻き起こしたのが本書。歴史の教科書に載る定説に根本的な問いを投げかけ、「…

【書評】現代の異端禁書『土偶を読む 130年間解かれなかった縄文神話の謎』

ここ数年をかけてじわじわと注目を集めつつある縄文文化。科学的な分析法の進化もあいまって、新しいアプローチによる研究成果が出されている。そうした中、素人玄人問わず議論を巻き起こしたのが本書。歴史の教科書に載る定説に根本的な問いを投げかけ、「…

【書評】はじまりのものがたり『世界の神話101』

神話は信者からすれば科学的事実を超えた信仰的事実である。現実を生きる上で世界を見渡す時に、ある意味をつけることがあるだろう。人間の脳は何の意味もない点が3つもあれば顔を見出す。雨の日には憂鬱になる人もいるかもしれない。なんら意味のない水蒸気…

【書評】宗教の四季報『世界の宗教101物語』

個の時代、コミュニティの時代に思い出してほしい。カリスマとは宗教に由来する言葉である。強引な勧誘など布教活動に目が行きがちだが、一般企業と比べると宗教はクローズドだがコミュニティビジネスとして見ることも可能だ。本書の目次を見渡しても、見聞…

【書評】武士の時代は本当にあった『武士の娘』

明治初期、家老の家に生まれ、厳格に育てられた著者の自伝。 当時の生活や考え方が生々しく描かれている。著者は結婚で渡ったアメリカで初めて目にする文化や思想を受け入れながら自立していくが、著者の支えとなったのはいつも「武士の娘」を忘れない精神だ…

【書評】世界とは言葉で表現できることである。『論理哲学論考』

​​20世紀最高の哲学書を3冊は?と問われたら、ハイデガー『存在と時間』と並んで必ず名前が入り、あと1冊は何だろうと考えることになると呼ばれるほど有名なこの著書、通称「論考」。 「世界とは言葉で表現できること全てである」との考えのもと、過去全ての…

【書評】人生に投影される日本史が琴線に触れる『アラビア太郎』

交渉を重ね、油田発見の可能性に賭けた実在の人物アラビア太郎の波瀾万丈の生涯。 船上で生涯の盟友との出会う場面から始まる場面が美しく、小説のようにエネルギッシュだが漠然としたエネルギーに満ちた若者が描写されるその街は札幌。 彼の名は山下太郎。…

【書評】ひろしくんがマキャベリの君主論を武器に5年3組を制覇する物語『よいこの君主論』

君主論と聞くと帝王学の教科書だったり、最近一部使えるところをビジネスに応用するという形で広まってますが、この本はビジネスや難しい状況ではなく小学校の5年3組というクラスを舞台に君主論をわかりやすく解説しています。 舞台として5年3組の権力闘争…

【書評】キャラ濃い武士たち大集合!『トンチキ鎌倉武士』

頼朝ファミリーから鎌倉殿13人、北条、平家のメンバー40人以上を紹介している。複数の史料をベースにトンチキな逸話を混じえてやさしい言葉で書いてあるので、歴史書としては読みやすくて軽いノリの雰囲気。読みながら武士たちを勝手に「こんな人だったのね…

【書評】人生は何かを成し遂げるには十分な時間がある『人生の短さについて』

著者のセネカ氏曰く、「人生は何かを成すには十分な時間があるのに、過ごし方次第で短く感じてしまう」という持論。セネカ氏本人は政治の中枢にも関わり、色々な権力者を身近で見てきた経験からこの持論を説いており、老後の楽しみのための準備に夢中になる…

【書評】米中両国が歩み寄ることがない世界でどう生きていくか『危機の地政学』

コロナ禍が引き起こした大きなトレンドは各国の右傾化。更に、足元25週間で過去25年分のグローバル化を後退させたと言われている。コロナ禍が招いたもう一つの功罪は各国内の分断。米国国内が真っ二つに分かれているため、外に共通の敵すら作れない状態。つ…

【書評】吉田松陰最期の書『留魂録』

松下村塾を主宰した吉田松陰は一日半でこのわずか五千数百字の文章を書いて翌日処刑されました。『留魂録』というタイトルではありますが、位置づけとしては本人の遺書であり、これを読んだ高杉晋作は倒幕を決意したというまさに歴史を変えた名著です。 倒幕…

【書評】吉田松陰最期の書『留魂録』

松下村塾を主宰した吉田松陰は一日半でこのわずか五千数百字の文章を書いて翌日処刑されました。『留魂録』というタイトルではありますが、位置づけとしては本人の遺書であり、これを読んだ高杉晋作は倒幕を決意したというまさに歴史を変えた名著です。 倒幕…

【書評】タブーの「壁」を超える!『世界の宗教は人間に何を禁じてきたか』

「自分と違う」そう感じた数だけ、相手も違いを感じるはずだ。ギャップの壁は超えるには、自分と相手との距離を相対化するといいだろう。そのためには自分の位置と他者の位置を把握することで解決する。一見すると難解そうな宗教のギャップは、人間関係の壁…

【書評】政治家がネコとゴギブリになる未来。民主主義をアップデートしよう!『22世紀の民主主義』

民主主義がかつてないほど劣化し、重症化している現代。付け焼き刃の対処などでは何も改善されない。必要なのは、ルール自体をどう作り変えていくべきかといった大胆な発想の転換だと著者は述べる。 本書は、(1)民主主義の故障(2)民主主義との闘争(3)…

【書評】室町のイメージが変わる!『一冊でわかる室町時代』

室町時代といへば金閣&銀閣!それ以外はぼんやりしていた。ドラマなどに取り上げられることも少なくやや知名度が劣る。しかし、本書でそのイメージは見事にひっくり返された。 南北朝時代から戦国時代までを含むと実に250年も続いた足利時代。一体何が起こ…

【書評】コミュニケーションは無視することで機能する『他人の言葉をスルーする技術』

会社に勤めていると気が滅入ることが多い。突然の人事異動、ご乱心状態の上司の世話、説明過多を求める部下。あぁ、やってられない。おそらく、地球上の全会社員がそう思っているに違いない。 特に可哀想なのが病んでしまう中間管理職だ。迷走する上司の世話…