ライター:倉田阿耶
読書をテーマに、フジモトマサル氏が描いた絵に答えるかたちで、吉田篤弘氏が考えた小咄を集めたものである。 人はなぜ読書をするのだろう?評者も本好きだが、「本の虫」とか「活字中毒」ってほどではないと思う。今までに読んだ本の数だって、そんなに多く…
小説に出てくる食べ物って、なんであんなに美味しそうなんだろう。写真とか、映像で見るよりも、言葉でさらっと説明される方が美味しそうに感じる。 本書は台所とラジオをテーマにした、短編集である。十二編の短編に、ちょっと変わった人たちと、美味しそう…
「なんだ、女子高生が主人公の甘酸っぱい恋愛ものか。」初めの数ページを読んでそう思った。だけど、読み進めていくと、どうも雲行きが怪しい。あまりにも緻密な描写で、心を深く深く抉ってくるのである。 主人公は受験を間近に控えた女子高生の愛。そんな彼…
本書では、著者が様々なところへ旅をして、その時々感じたことが素直な言葉で綴られる。詩のような美しい文章により、その時著者が見ていた風景が、色鮮やかに蘇る。 実際に、旅に出ることでしか出逢えない言葉というものがある。「百聞は一見に如かず」とは…
旅というのは非日常、計画の外を求めてするものだ。それなのに、その旅をきちんと計画を立ててするというのは、ちょっと衝動を社会に飼い慣らされすぎじゃないか?そんなに自分をうまく管理できるなら、そもそも旅になんか出なくていいのでは? 著者が旅に出…
不安が起きるとき、そこには必ず、対象についての無知がある。老いるとはどういうことかをよく知らないから、老いの恐ろしさが水増しされるのだ。 身体と脳が老いていくときのメカニズム、身体と脳のエイジングを防ぐ方法、老いにどうやって向き合っていくか…
「やってみなはれ」。鳥井信治郎の愛用語である。著者によれば、三つの意味があるらしい。一つは「やってみなければ何も始まらない」、二つ目は「それで失敗しても構わない」、三つ目が「失敗の中に必ず成功につながる何かがある」。これほど愛情深い言葉が…
「やってみなはれ」。鳥井信治郎の愛用語である。著者によれば、三つの意味があるらしい。一つは「やってみなければ何も始まらない」、二つ目は「それで失敗しても構わない」、三つ目が「失敗の中に必ず成功につながる何かがある」。これほど愛情深い言葉が…
経営の神様、松下幸之助。世界でトップの家電製品の企業を築き上げた人物が、生涯その恩を忘れず、”商いの師”とした人物が、本書の主人公である、サントリー創業者、鳥井信治郎であった。 そんな鳥井信治郎が生まれたところから、物語ははじまる。”商いの都”…
「生まれてすみません」聞き覚えのあるフレーズとともに登場した国語の特別講師、太宰府治。そんな太宰府先生が重要視するのが、読解力だ。 本書は、皆さん知っての通り東大受験漫画である。そして本巻は、国語集中巻となっている。 全ての教科で必要なもの…
「いいんですよ、部屋代なんていつだって」著者が作家として今日まで生きてこれたのは、「逗子なぎさホテル」で過ごした日々があったからだった。その七年余りの日々は、時折、思い起こしても、夢のような時間であった。 本書は、作家、伊集院静さんが、今は…
大学二年生の頃、多崎つくるはほとんど死ぬことだけを考えて生きていた。 きっかけははっきりしている。彼はそれまで長く親密に交際していた四人の友人たちからある時、唐突に絶縁を突きつけられた。理由も告げられずに。 あのとき死んでおけばよかったのか…
過去の恋人のことを忘れられず、あちこち転々として暮らす自らのことを「旅がらす」だという母と、娘の物語。 ふわふわと、まるで夢の中を生きているような、過去に縛られている母。それに反するように、すくすくと成長し、しっかりと時を刻んでいく娘。 仲…
現代は、人生100年時代だと言われる。そう聞くと、死は自分とは遠いところにあるものだと錯覚してしまう。けれど実際は、誰もが死と隣り合わせにある。 著者は精神腫瘍科医として、がんに罹患された方とそのご家族とともに死と向き合ってきた。本書では、そ…
現実に久々に目の前に立ったホリエモンは九十一歳の瀬戸内寂聴氏の目には「可愛らしい」と映った。悪びれず人懐っこい微笑みをたたえた素顔には、誰をもひきつけるあっけらかんとした魅力があふれていた。 本書は、刑務所から出所したばかりの頃の堀江貴文氏…
現代は、栄養や安全は確保され、ムリしなくても生きていける。しかし逆に頭脳労働を長期的に行うことで、知らない間にムリが深くなってくる。ムリは限界に達すると、破綻する。それが、うつや自殺という形で表れる。 本書では、著者が自衛隊で教えている疲労…
ストレスの多い現代社会において、心の健康に関する知識を持たずに生きていくことは、戦場に丸裸で突っ込むようなものである。 メンタルヘルスの問題と関わりを持たずに生きていくことは不可能と言えるほどに、この問題は日本社会を侵食してしまっているのだ…
全然自分のことを見てない、自分にまったく興味のない変な人が、それぞれ勝手に変なことで悩んでたり変なことしてたら。それだけで、なんだか楽になるのかもしれない。 周りのするようにし、周囲から浮かないように、社会からはみ出ないように、「普通」の生…
HIU情報を知ることができる本書。今号は、みんなが知りたい、というよりも絶対に知っておくべき医療情報が満載です。 「10万個の子宮〜あの激しい痙攣は子宮頸がんワクチンの副反応なのか〜」の著者としても知られる村中璃子医師。 日本政府が子宮頸がんワク…
「知名度が上がればブランドになる」と考えている方が世の中には多くいます。ですが、それは間違いです。ブランディングとは、”知らせる”という狭義のものではなく、企業の柱を”見つけ、育て、強くする”その一連の過程を指すものだからです。 時代は「規模の…
本当においしいものは言葉を探す必要もなく、喉を通過したときにはもう感嘆の声が出て、そして胃におさまるころには、花がひらくみたいに言葉が湧き起こってくる。 ひょんなことからサンドイッチ屋さんで働くことになった僕。それからは水曜日を除いて毎日の…
どんな風に書くかというのは、どんな風に生きるかというのとだいたい同じだ。どんな風に女の子を口説くかとか、どんな風に喧嘩するかとか、寿司屋に行って何を食べるかとか、そういうことです。 著者は文章を書くことについての質問をよくもらった。文章を書…
あなたは、1万円札に永遠の価値があると本気で信じているだろうか?1万円札は製造コストたった二十数円の「紙切れ」である。そして、そんなお金という「ただの紙切れ」つまりフィクションに翻弄され四苦八苦している人たちはただのドMである。 著者は、私た…
頭痛、目の疲れ、指の疲れ、背中のコリ、腕の張り、腰痛、むくみ、冷え。あなたはいくつあてはまりますか?人間はただ座っているだけで、とても疲れます。一日中デスクワークで、体の疲れに気づいているのに、放置していませんか? 座り仕事をしている人の中…
ことばというのは、おもしろいものである。玩具としてもおもしろくて、実用の道具としてもおもしろい。ときには、ことばそのものが、神の役割をすることもある。ことばで、人を殺すこともできるし、人のいのちを救うことだってありうる。 自己肯定感って、「…
マスメディアは「正しいこと」を報道しようと努力する。しかし、「正しいこと」には別の「正しいこと」が返ってくる。それは果たしてコミュニケーションなのでしょうか。 新聞とは正しいことをキチンと書いて伝えるものだと思ってきた。でもそうしてがんばっ…
あなたにとって、一番大切な人は誰ですか?そしてその「大切な人」は、あなたをいろいろと助けてくれる人ですか?それとも、あなたのほうが相手をいろいろと「助けてあげたい」と思う人ですか? 母親は、赤ちゃんが自分のために何もしてくれなくても心の底か…
坂本竜馬は、不思議な人物だった。決して欲というものがなく、周りが勤王だ、攘夷だ、と熱に浮かされ騒いでいる中で、一人冷静に自分の考えを持ち、かといって自分の中にはしっかりと熱く燃えるものをもっている。周りに流されなければ生きづらい世の中でも…
何かを破壊したい、と思ったことはないだろうか。誰にでも、ある時期には、どうしようもない破壊衝動のようなものが沸き起こってはこないだろうか。こんなことを、こんな混沌を、感じない人がいるのだろうか。 ラベリング理論というものがある。前科のレッテ…
東京拘置所で丸刈りになり、長野刑務所へ。独房ではウツになりかけ、介護衛生係になり、他人の下の世話をし、腎臓結石が見つかり、揚げたてメンチカツはおいしく、ジョブズ死去を独房で聞き、きな粉で難なくご飯が食べれるようになり、ついに体重は30キロ減…