HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】『ぎんなみ商店街の事件簿 BROTHER編』 - 兄弟愛と推理の融合

皆さんこんにちは。井上真偽による「ぎんなみ商店街の事件簿」シリーズは、古き良き商店街で起こる事件を解決する物語で、読者を温かな気持ちにさせると同時に、スリリングな推理の楽しさも提供します。シリーズは「BROTHER編」と「SISTER編」の2冊があり、それぞれが異なるキャラクターを中心に展開されます。今回は「BROTHER編」を読みました。

舞台は銀波商店街。物語は、元太(24歳)、福太(高校生)、学太(中学生)、良太(小学生)の四兄弟が探偵役となり、商店街で起こる様々な事件を解決していく姿を描きます。彼らは母親を早くに亡くし、父親は海外赴任中という家庭環境の中で育ちました  。

「BROTHER編」は、事件解決だけではなく、兄弟愛・家族愛を感じられる作品です。四兄弟の絆や、彼らを取り巻く商店街の人々との交流が、そして亡き母親との思い出が事件解決のキーになるなど、読者に感動を与えます。また、SISTER編と対になっていることで、同じ商店街や周りの人々と関わる物語が展開されるのだろうと期待しています。

 

 

【書評】ちょっぴり怖い不思議なお話『ショートショートの惑星: 奇妙でブラックユーモア溢れる30の小説集 星夜行のショートショート』

ショートショート超短編小説)と言えば誰もが星 新一を思い浮かべるであろう。とても奇妙で独特な作風の彼の熱烈なファンも多いはず。本書は、今は亡き星 新一をオマージュして書かれた、星夜 行(ホシヤ コウ)による30編のショートショート集である。

本書に収録された物語は、まるで星 新一作品のように、いずれも奇妙でブラックユーモアに富んだ不思議な作品に仕上がっている。また、短いながらも深い人間洞察が詰め込まれている。

そして星 新一同様、各話の終わりに訪れる意外な「オチ」にも注目だ。一見普通のシーンが、終わり近くで予想外の方向に転じ、読者をアッと驚かせる。中には少し怖いくらいのオチもある。
これらはただのサプライズではなく、しばしば読者に考えさせ、反省を促すものになっている。これにより、単なる娯楽を超えた価値を生み出している。

本書は、日常にマジックのような驚きを求める人や、短い物語で深い感動や考えるきっかけを得たいと考えている読者に特にオススメだ。また、ブラックユーモアが好きな方にぴったりである。

この独特のスタイルと深みのある内容で、読む者の心を掴み、思考を巡らせることだろう。多くの読者にとって、一読の価値がある作品であることを疑わない。

そして、星 新一の作品はKindle Unlimitedの読み放題では読むことができないようだが、星 新一のショートショートを目指して書かれた本書は、読み放題で読むことができるのも嬉しい。

 

 

【書評】石油王を口説きに中東へ『トリリオンゲーム(9)』

 本作はカリスマと天才プログラマーがタッグを組んで一兆円企業を作るまでの物語だ。とうとう上場へこじつけた2人は、株価を釣り上げるため中東へ石油王を口説きに行った。

 

石油王を味方につけた2人はとうとう会社をタイトルであるトリリオン(1兆円)企業にしてしまった。上場により調達した資金を元にモバイル事業に繰り出す。

 

モバイル事業はどこかで聴いた話だが、多量の資金を流しながら、大量のアンテナを建てまくらないと参入できない。100億円単位で金が溶けていくが、無事モバイル事業に参入できるのか、どうやって参入するのか、それは本作をお楽しみに。

 

 

【書評】『土偶を読む』 - 新視覚で解き明かす土偶の謎

皆さんこんにちは。土偶についてはご存知ですか?これらが何を象徴しているか?一般的には豊穣の象徴であり、妊娠した女性を表しているとされています。これが長らくの通説であり、私もそう考えていました。しかし、これは土偶に関する数ある説の一つに過ぎず、そのモチーフについて客観的な根拠は乏しく、研究者の間でも統一された見解はないようです。

この本では、考古学者ではなく人類学者である竹倉史人さんが、土偶についての独自の考察を展開します(表紙にはネタバレが含まれています)。ハート形土偶や「縄文のビーナス」、遮光器土偶など、皆さんが一度は写真で見たことのある土偶たちについて、思いもよらない新たな解釈を提供しています。この本を通じて、1万年前の人々の思いに触れ、共感を深めてみてはいかがでしょうか。

 

 

【書評】「日本のITベンチャー興亡期、3社の上場を経験した日本を代表するアントレプレナー」『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』

日本のIT勃興期。父親の事業である有線放送の創業期の話に始まり、父親の背中を見て育った子供時代。自身の学生時代から社会人を経て起業し、父親が築いた事業の継承と自分が創業した事業の狭間でもがきながら、がむしゃらに働き続け、成功や挫折、苦悩を繰り返しながら今日に至る起業家 宇野康秀氏の歩みとその裏側に迫る。

一番印象的だったのは、父元忠が言った一言
「わしより働く社員がいたら、そいつが社長や」
誰よりも会社の事を考え行動し続けた父の背中を見て育ち、経営スタイルは全く異なるものの、そのマインドを受け継ぎ、
現在では大企業に成長した人材紹介サービスを展開するインテリジェンス(現パーソルキャリア)を創業し、その後、父親から受け継いだUSENの経営を立て直し、さらにネット配信の将来を見越して、現在ではNETFIXやAmazon Primeなど海外動画配信サービスとしのぎを削るU-NEXTを立ち上げ、それら3社を上場に導く。

話には、宇野氏が就職したリクルートの創業者江副 浩正氏やソフトバンク孫正義氏、ライブドア堀江貴文氏、GMO熊谷正寿氏、サイバーエージェントの藤田 晋氏、楽天の三木谷 浩史氏など日本を代表する実業家などとの関わりもあり、興味深い。

私自身は起業の経験はないですが、
起業家には熱い情熱と自分の信じた道を信じて愚直に粘り強くやり続ける覚悟やそのためには敢えて厳しい方の道を選ぶことも厭わないという姿勢など、起業家を目指す人にとっては、非常に参考になる一冊ではないかと思いました。
ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。

著者:児玉 博
出版社:文藝春秋

 

 

【書評】魚で紡がれる歴史の糸 - 『魚で始まる世界史』

皆さんこんにちは。今日紹介するのは、歴史の教科書ではあまり触れられない、魚が西洋史に果たした役割にスポットを当てた越智敏之の著書『魚で始まる世界史』です。この本は、ニシンやタラなどの魚がヨーロッパの経済や文化の発展にどのように寄与したかを詳述しています。これらの魚がいかにして大航海時代の推進力となり、新大陸への影響を与えたかが興味深く語られています。

この本では、魚が単なる食料以上のものとして位置づけられている点が特徴的です。キリスト教をはじめとした宗教との密接な関わりや、ニシンの回遊コースの変化がハンザ同盟の繁栄と衰退、さらにはバイキングの移動にどのように影響を与えたかの分析は目からウロコの情報です。(ここはうまいこと言ったポイントです)

また、本書の第7章では、古い時代の魚料理レシピが紹介されており、それには「魔女の宅急便」にも登場するニシンのパイなど、歴史的な料理が現代のカルチャーとどのように結びついているかが示されています。これらのレシピを通じて、読者は過去の食文化を実際に体験することができるため、やる気があればただの歴史学習を超えた体験が可能になります。

食の歴史に興味がある方はもちろん、ヨーロッパの文化や経済史に興味のある方にもお勧めの一冊です。

 

 

【書評】『硫黄と銀の室町・戦国』 - 東アジアの貿易構造への影響とその背景

皆さんこんにちは。 『硫黄と銀の室町・戦国』は、日本が14~17世紀に採掘し、東アジアへ大量輸出した硫黄と銀の歴史に注目した著作です。この本は、鹿毛敏夫によって編集され、多岐にわたる専門家が共同で寄稿しています。硫黄と銀の採掘がいかにして東アジア全体の貿易構造に重要な影響を及ぼしたかを、生産から消費に至るまで幅広く探求しています。なぜ『硫黄と銀』という組み合わせなのかも、冒頭で語られています。

本書は三部構成となっており、第一部では硫黄と銀の世界史を扱い、第二部では硫黄山・銀山の考古学的な発掘成果に焦点を当て、第三部では硫黄と銀の産業が社会構造にどのような影響を与えたかを考察しています。特に興味深いのは、サルファー(硫黄)大名やシルバー(銀)大名といった、鉱物資源を巡る人間の奪取や独占の歴史的な側面が詳細に述べられている点です。

『硫黄と銀の室町・戦国』は、どのようにしてこれらの鉱物が日本だけでなく、グローバルな規模で影響を与えたかを解明しています。分析化学のデータを用いた研究や、豊富な文献資料に基づいた議論は、この分野の研究に新たな視角を提供しており、とても勉強になります。

また、鹿毛敏夫の編集により、各章が密接に連携しながらも、それぞれが独立した興味深い話題を提供しています。読者は、日本の鉱業が東アジアの経済や政治にどのように組み込まれていったのかを、多角的に理解することができるでしょう。鉱業の歴史に興味がある方はぜひ手に取ってみてください。

https://www.amazon.co.jp/%E7%A1%AB%E9%BB%84%E3%81%A8%E9%8A%80%E3%81%AE%E5%AE%A4%E7%94%BA%E3%83%BB%E6%88%A6%E5%9B%BD-%E9%B9%BF%E6%AF%9B%E6%95%8F%E5%A4%AB/dp/4784220062

【書評】だから歴史を紐解くのは面白い『藤原氏の正体』

奈良時代の歴史を勉強していて、「百済」!?(くだら=クンナラ、大きな国という意味という説あり)「え、なぜ白村江の戦い朝鮮半島に遠征?無謀では?」と思ったそこのあなた。それは戦国時代の朝鮮出兵と並び、遥かなる海の向こうへの無鉄砲で唐突な?!戦いにおもえる。
・・・となるといろいろな壮大ロマン(ロマンスではなく)も浮かび上がるのが世の常。
本書は、そんな背景の七世紀、藤原氏の開祖「中臣鎌足」はどこから来たのかの謎ときから、その子であり天皇外戚として君臨した藤原不比等、そしてその子孫に至る藤原家の政治、そして現在に至るにまで脈々とつながる藤原氏の正体に迫る論考である。

なかでも中臣鎌足の両親はどこから来たのか?!という謎解き部分が面白い。

彼の出自の第一の説は、茨城県常陸の国鹿島神宮の神官でが祖先であったというもの。そして720年の『日本書紀』に大きく関与したとされる不比等が、藤原家の権威付けのために中臣鎌足天照大御神の天岩戸物語に出てくる「天児屋命」の末裔と書かせたものだという通説だ。藤原氏が祀る奈良の春日大社において、鹿島神宮香取神宮の神様をその権威である「天児屋命」よりも上に祭っているのが常陸の国出身の証拠だというのだ。

そして第二の説はもともと大阪の枚丘周辺にいた中臣氏が祖先だというもの。

そして著者が唱える第三の説。なんと渡来人由来でその正体は白村江の戦いの時点から・・・・(本書を読んでのお楽しみ)

そんな仮説から、その後の政治で菅原道真を左遷したり、摂関政治や(自分たち以外の)土地の私有化を抑制しよう動くなど自家以外の繁栄を拒み、そして祟りに怯える藤原氏、、という構図で論考は進んでいく。

歴史・事実は一つしかない。けれど勝者の作った歴史であることも確かだ。しかし裏から見ればいろいろな矛盾に辻妻があう?!だから歴史を紐解くのはやめられないのだ。

平成20年12月1日発行 
著者 関 裕二
株式会社新潮社

 

 

【書評】部下を持つ前に読んでおきたい『リーダーシップは「見えないところ」が9割』

著者はこれまで3万5千人の管理職にコンサルやセミナーを実施した「人材コンサルタント」。
優秀な人物像を想像するが、本人は怒るばかりの駄目上司で、3度の降格を経験しながらリーダーシップと向き合うことで様々なノウハウを手に入れた。
著者が長年指導して気付いたことは、「優秀なリーダーは、見えないことを大切にしている」ということ。
優秀なリーダーと聞くと「リーダーシップを発揮してチームをグイグイと引っ張る」姿を思い浮かべるが、本当にパフォーマンスが上がるやり方は反対。
自分が前に出るのではなく、部下のフォローや仕事の流れを整えるなど、サポートに徹することである。
自分と一握りのやる気ある社員で目標達成に臨むより、バックオフィスも含めた全体を巻き込んだ方が効率的なのである。
部下のやる気を引き出すためには「外発的」「内発的」の2種類の動機づけを活用することが大切だという。
 「外発的動機づけ」は昇格や昇給など、外部からもたらされる動機づけで即効性が高い。 
それに対し、「内発的動機づけ」は部下の好奇心や仕事の楽しさ、将来の展望など、内面からもたらされるもので持続力がある。
リーダーはこの2つを上手に使い分けて社員のモチベーションアップを引き出すことが有用である。
本書では、他にも「正しいほめ方」「任せた仕事への適切な距離感」「Z世代に響く話し方」「ナンバー2の育成」など、職場で役立つ多くのテクニックが記されている。
昨今の職場は「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」「パタハラ」、退社後は「アルハラ」「モラハラ」など、あらゆることがハラスメントに発展しうる。
息苦しい現代社会を生き抜くため、飛んで来た火の粉を払うためにも、この分野について一定の知識をつけておきたいものである。

作  者:吉田 幸弘
発売日:2024年5月15日
メディア: 青春出版社

 

 

【書評】読んでQOLを高めよう『脳科学は人格を変えられるか?』

脳科学的に物事をネガティブに捉えるかポジティブに捉えるかを解き明かした本書。遺伝子的傾向や後天的な対処の仕方を指南する。

「コップに半分しか水がない」
「コップにまだ半分も水がある」
物事をネガティブに不安と恐怖をもってに捉えるのも動物的な危機回避の本能である。またポジティブに希望を持って捉え、報酬を求めて行動するのも本能である。

しかしポジティブに捉えるほうが有意に長寿命や運にも関係するのだ。そして逆境に打ち勝つ人の共通点は楽観主義者であることである。

オックスフォード大学に勤める著者がついとめた「セロトニン運搬遺伝子」。この働きにより人生を肯定的にとらえる楽観的な性格は作り出される。
しかし遺伝だけでなく、後天的にも脳は可塑化できること、も実は本書に記載があるのだ。

評者は根本はかなりの不安症なので後天的に意図してポジティブにしていく必要のある性分だと考えている。そんな私にも貴方にも、例えば、自分の感情に名前をつけて冷静に捉えることや、マインドフルネスの瞑想によるストレス耐性を鍛える事など参考にすべき記載も多いだろう。物事を自分でコントロールする感覚が幸せにつながることも。

説得力ある実験の数々に、まさに知見の海に飛び込んだかのような読後感である。
現在この分野の最新研究がどうなっているのかも興味仕切りである。

エレーヌ・フォックス著/森内薫訳
2014年7月