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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】何故「障害」なんて言われるの!?『発達障害の人には世界がどう見えているのか』

 皆さんは「発達障害」について、どのようなイメージを持っているだろうか?最近、何かと「発達障害」が何かと話題になっている。いつだかの24時間テレビでも自閉スペクトラム症(ASD)が取り上げられ、書店でも「発達障害系」の本が並んでいる。テレビ番組といい、書籍といい、中身を見てみると、どうやら彼らには、強みと弱みの差が大きいだけで、驚くほどの才能を持っていることが見受けられる。言い換えれば、一昔前には「発達障害の人はこういうことができないよね」「この部分で苦労するよね」となっていたが、最近の流れは逆なのだ。「こういう部分は苦手だけど、逆にこの部分はかなり得意よね」ということが、身近に起きている。なので、最近は「自分を受け入れましょう」という形になりつつある。というか、それ以前に、「障害ではなく、一種の性格の凸凹」という見方も出てきている。僕自身、どちらかというと、今まで「発達障害」と言われてきた特性をいくつか持っているが、そのような特性を持っているから得意なこともある。この本を読んで、自分の特性について理解が深まった。今回は、どのような部分が役に立ったのか、面白かったのか、ということを紹介していく。

 まず、この本で最初に取り上げているのが、「発達障害」への理解である。特に「困っていること」だ。この世の中の尺度から行くと、「発達特性」は不利になりやすい。コミュニケーションやその行動の異質性から、仲間外れにされやすいのだ。なので、この本では、その特性を持っていることで、どのようなことに困ってるのかを、紹介している。そのなかで、僕も筆者も口を大にして言いたいのが、「性格に問題で片づけられることが非常に多い。しかし実際は脳や遺伝子のレベルなので、直そうと思っても周りも自分自身も苦労しか待っていない」ということだ。例えばASDを持っている人は、コミュニケーションで問題を特に抱える。共感するという概念自体が少ないため、一方的になりやすい。僕も、脳の構造はASDと診断される人と同じと医者から言われたことがある。これらのことを含めて、筆者がここで強調しているのが、「何故」を深掘りし、理解していくことが重要だ、ということである。

 そして、ここからが本書の真骨頂だが、この「発達特性」といわれているものは、何とかなり役立つ場面が多し、なのだ。例えば、ASDが顕著な人なら、その分感覚が優れていることが多い。絶対音感のような聴覚の鋭さを持っていることもある。なので、音楽の分野で活躍できる可能性が高い。また、その共感力の少なさからくる圧倒的論理力で、数学を極めて活躍できる人もいる。僕自身共感力は低い。しかし、そのおかげで学問に興味を持ち、今では数学の問題をたくさん解き、本も読んでいる。そして、このような書評も書けるのだ。他にも例としては、本書ではないが、ジェフ・ベゾスの例やイーロン・マスクの例が載っている。彼らが得意なのは、何と数学なのだ。抽象的な思考が得意なASD、という人もいる。僕自身、数学を勉強している。これは知覚統合という分野に関係するのだが、ここから語り始めるときりがないので、また今度の機会に記述する。少し脱線したが、要は「ASDだろうとADHDだろうと、その分かなり得意なことも存在するため、そっちを伸ばしたほうがいいんじゃないの?」ということを述べているのである。

 本書を書いた井出正和は、国立リハビリテーションセンター研究所の研究員だ。専門は実験心理学である。立命館大学大学院の心理研究科で博士課程をとっている、心理学の博士である。MRIを使い、感覚過敏や感覚鈍麻についてのメカニズムを研究している。著書に『科学から理解する自閉スペクトラム相の感覚世界』がある。

 本書は、ぜひとも、これからの時代を生きる人間として、ぜひ手に取って、読んでほしい。そのくらい、この本は、発達特性についての理解につながる。僕自身、かなり助かった。読めば、特性を持っている人の世界を疑似体験できる。これを機に、ご一読してはいかがだろうか?

参考文献
井出正和(2022)『発達障害の人には世界がどう見えるのか』SBクリエイティブ
 

 

 

【書評】何故「障害」なんて言われるの!?『発達障害の人には世界がどう見えているのか』

 皆さんは「発達障害」について、どのようなイメージを持っているだろうか?最近、何かと「発達障害」が何かと話題になっている。いつだかの24時間テレビでも自閉スペクトラム症(ASD)が取り上げられ、書店でも「発達障害系」の本が並んでいる。テレビ番組といい、書籍といい、中身を見てみると、どうやら彼らには、強みと弱みの差が大きいだけで、驚くほどの才能を持っていることが見受けられる。言い換えれば、一昔前には「発達障害の人はこういうことができないよね」「この部分で苦労するよね」となっていたが、最近の流れは逆なのだ。「こういう部分は苦手だけど、逆にこの部分はかなり得意よね」ということが、身近に起きている。なので、最近は「自分を受け入れましょう」という形になりつつある。というか、それ以前に、「障害ではなく、一種の性格の凸凹」という見方も出てきている。僕自身、どちらかというと、今まで「発達障害」と言われてきた特性をいくつか持っているが、そのような特性を持っているから得意なこともある。この本を読んで、自分の特性について理解が深まった。今回は、どのような部分が役に立ったのか、面白かったのか、ということを紹介していく。

 まず、この本で最初に取り上げているのが、「発達障害」への理解である。特に「困っていること」だ。この世の中の尺度から行くと、「発達特性」は不利になりやすい。コミュニケーションやその行動の異質性から、仲間外れにされやすいのだ。なので、この本では、その特性を持っていることで、どのようなことに困ってるのかを、紹介している。そのなかで、僕も筆者も口を大にして言いたいのが、「性格に問題で片づけられることが非常に多い。しかし実際は脳や遺伝子のレベルなので、直そうと思っても周りも自分自身も苦労しか待っていない」ということだ。例えばASDを持っている人は、コミュニケーションで問題を特に抱える。共感するという概念自体が少ないため、一方的になりやすい。僕も、脳の構造はASDと診断される人と同じと医者から言われたことがある。これらのことを含めて、筆者がここで強調しているのが、「何故」を深掘りし、理解していくことが重要だ、ということである。

 そして、ここからが本書の真骨頂だが、この「発達特性」といわれているものは、何とかなり役立つ場面が多し、なのだ。例えば、ASDが顕著な人なら、その分感覚が優れていることが多い。絶対音感のような聴覚の鋭さを持っていることもある。なので、音楽の分野で活躍できる可能性が高い。また、その共感力の少なさからくる圧倒的論理力で、数学を極めて活躍できる人もいる。僕自身共感力は低い。しかし、そのおかげで学問に興味を持ち、今では数学の問題をたくさん解き、本も読んでいる。そして、このような書評も書けるのだ。他にも例としては、本書ではないが、ジェフ・ベゾスの例やイーロン・マスクの例が載っている。彼らが得意なのは、何と数学なのだ。抽象的な思考が得意なASD、という人もいる。僕自身、数学を勉強している。これは知覚統合という分野に関係するのだが、ここから語り始めるときりがないので、また今度の機会に記述する。少し脱線したが、要は「ASDだろうとADHDだろうと、その分かなり得意なことも存在するため、そっちを伸ばしたほうがいいんじゃないの?」ということを述べているのである。

 本書を書いた井出正和は、国立リハビリテーションセンター研究所の研究員だ。専門は実験心理学である。立命館大学大学院の心理研究科で博士課程をとっている、心理学の博士である。MRIを使い、感覚過敏や感覚鈍麻についてのメカニズムを研究している。著書に『科学から理解する自閉スペクトラム相の感覚世界』がある。

 本書は、ぜひとも、これからの時代を生きる人間として、ぜひ手に取って、読んでほしい。そのくらい、この本は、発達特性についての理解につながる。僕自身、かなり助かった。読めば、特性を持っている人の世界を疑似体験できる。これを機に、ご一読してはいかがだろうか?

参考文献
井出正和(2022)『発達障害の人には世界がどう見えるのか』SBクリエイティブ
 

 

 

【書評】何故「障害」なんて言われるの!?『発達障害の人には世界がどう見えているのか』

 皆さんは「発達障害」について、どのようなイメージを持っているだろうか?最近、何かと「発達障害」が何かと話題になっている。いつだかの24時間テレビでも自閉スペクトラム症(ASD)が取り上げられ、書店でも「発達障害系」の本が並んでいる。テレビ番組といい、書籍といい、中身を見てみると、どうやら彼らには、強みと弱みの差が大きいだけで、驚くほどの才能を持っていることが見受けられる。言い換えれば、一昔前には「発達障害の人はこういうことができないよね」「この部分で苦労するよね」となっていたが、最近の流れは逆なのだ。「こういう部分は苦手だけど、逆にこの部分はかなり得意よね」ということが、身近に起きている。なので、最近は「自分を受け入れましょう」という形になりつつある。というか、それ以前に、「障害ではなく、一種の性格の凸凹」という見方も出てきている。僕自身、どちらかというと、今まで「発達障害」と言われてきた特性をいくつか持っているが、そのような特性を持っているから得意なこともある。この本を読んで、自分の特性について理解が深まった。今回は、どのような部分が役に立ったのか、面白かったのか、ということを紹介していく。

 まず、この本で最初に取り上げているのが、「発達障害」への理解である。特に「困っていること」だ。この世の中の尺度から行くと、「発達特性」は不利になりやすい。コミュニケーションやその行動の異質性から、仲間外れにされやすいのだ。なので、この本では、その特性を持っていることで、どのようなことに困ってるのかを、紹介している。そのなかで、僕も筆者も口を大にして言いたいのが、「性格に問題で片づけられることが非常に多い。しかし実際は脳や遺伝子のレベルなので、直そうと思っても周りも自分自身も苦労しか待っていない」ということだ。例えばASDを持っている人は、コミュニケーションで問題を特に抱える。共感するという概念自体が少ないため、一方的になりやすい。僕も、脳の構造はASDと診断される人と同じと医者から言われたことがある。これらのことを含めて、筆者がここで強調しているのが、「何故」を深掘りし、理解していくことが重要だ、ということである。

 そして、ここからが本書の真骨頂だが、この「発達特性」といわれているものは、何とかなり役立つ場面が多し、なのだ。例えば、ASDが顕著な人なら、その分感覚が優れていることが多い。絶対音感のような聴覚の鋭さを持っていることもある。なので、音楽の分野で活躍できる可能性が高い。また、その共感力の少なさからくる圧倒的論理力で、数学を極めて活躍できる人もいる。僕自身共感力は低い。しかし、そのおかげで学問に興味を持ち、今では数学の問題をたくさん解き、本も読んでいる。そして、このような書評も書けるのだ。他にも例としては、本書ではないが、ジェフ・ベゾスの例やイーロン・マスクの例が載っている。彼らが得意なのは、何と数学なのだ。抽象的な思考が得意なASD、という人もいる。僕自身、数学を勉強している。これは知覚統合という分野に関係するのだが、ここから語り始めるときりがないので、また今度の機会に記述する。少し脱線したが、要は「ASDだろうとADHDだろうと、その分かなり得意なことも存在するため、そっちを伸ばしたほうがいいんじゃないの?」ということを述べているのである。

 本書を書いた井出正和は、国立リハビリテーションセンター研究所の研究員だ。専門は実験心理学である。立命館大学大学院の心理研究科で博士課程をとっている、心理学の博士である。MRIを使い、感覚過敏や感覚鈍麻についてのメカニズムを研究している。著書に『科学から理解する自閉スペクトラム相の感覚世界』がある。

 本書は、ぜひとも、これからの時代を生きる人間として、ぜひ手に取って、読んでほしい。そのくらい、この本は、発達特性についての理解につながる。僕自身、かなり助かった。読めば、特性を持っている人の世界を疑似体験できる。これを機に、ご一読してはいかがだろうか?

参考文献
井出正和(2022)『発達障害の人には世界がどう見えるのか』SBクリエイティブ
 

 

 

【書評】とうとう発見!これが内向的な人間の強みだ!『内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法』

 皆さんが、「内向的」という言葉を聞くと、どのような考えが頭に浮かぶだろうか?「しゃべり下手」?「恥ずかしがりや」?この本は、内向的な人間といわれる人々に光を当てた本だ。僕自身、遺伝子検査や性格検査をやってみると、内向的な人間だという結果がよく出る。それだけ、人付き合いが苦手なのだ。この本は、僕のような内向的で物静かな人間にとって、バイブルだ。思慮深い人が持っている強みを、ずらっと列挙している。僕は、この本に救われた。今回は、この本について、紹介していこう。

 まず、僕がこの本で一番注目したのが、「そもそも内向的な人ってどんな人?」という「内向的の定義」だ。そして、このことを話すと、大体の人は口をそろえて「そうなの?全然知らなかった」というのだ。つまり、みんなが考える内向的な人というのは、恥ずかしがり屋で口下手でコミュニケーションがうまくない人を想像する。しかし、この本によると、全然違うのだ。筆者は、「外の世界に対して敏感で、自分の内側に興味がある人」と紹介している。ここがまず面白いところだ。筆者は、この本で、内向的人間の定義から紹介している。そして、「内気」と「内向的」という違いにも着目している。なので、ここでまず皆さんが考えが変わるだろう。

 そして第二に、内向的な人の強みを列挙している。私が興味を惹かれたのは、「内向的な人間は、思慮深く、洞察に優れている。そして、創造的だ。」という点だ。僕は、自分が思慮深いだの、洞察に優れているだの、自分自身に言うつもりはない。しかし、この記述を読むと、少し肩の荷が降りたような感覚になった。僕は、人と関わるのが苦手で、何かあるとすぐに考え事を始めてしまう自分にちょっとしたコンプレックスを抱えていたからだ。しかし、この記述を読んでからは、自分は自分でいいんだ、と認められるようになってきたのだ。つまり、このことから、内向的とか外向的とかというのは、コミュニケーションスタイルも含めた単なる違いに過ぎない、問うことが言えるのだ。

 著者であるスーザン・ケインは、ライターだ。プリンストン大学を卒業し、ハーバード大学ロースクールを修了後、ウォール街の弁護士になる。ライターになった後は、多数の企業でコミュニケーションや交渉についての講演を行う。TED talkにも出演している。

 繰り返すが、この本は、内向的な人間だと自負していたり、コミュニケーションに苦手さを感じている人にはうってつけの本だ。それと同時に、外向的な方々にも、内向的な人間について学べる、良書だ。ぜひ、ご一読してはいかがだろうか?

参考文献
スーザンケイン(2020)『内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法』古草秀子(訳) 講談社

 

 

【書評】何故このタイトルにしたの?『時間は存在しない』

 

 皆さんは、「時間」という概念をどのようにとらえているだろうか?そもそも、何故僕たちは「時間」を感じるのだろうか?書店に行くと、数々の時間術の本が並んでいる。メンタリストDaiGo氏の本や鈴木祐氏の著書にも、時間術の本がある。その中で、今回紹介する本は、何とイタリアの物理学者が書いた、時間に関する本である。専門書の類に近いが、そこまで専門知識がなくても読める本なので安心してほしい。ビジネスマンが書いた時間術の本より、こちらのほうが、僕としては興味深かった。なぜかというと、この本では僕らが「普遍である」と考える「時間」について、根本敵に考えを変える本だからである。今回の書評では、具体的にどの箇所が面白く、考えがひっくり返るのかを述べていく。

 まず第一に、第一部で著者が「時間は普遍なものではなく、ところ変われば時間も変わる」というのを、物理の知識で述べている点が非常に興味深い。僕が特に魅かれたことは、僕たちの言う現在とは、「今いる自分の身の回りで起きていること」であり、遠くの世界の現在は分からない、という点である。分かりやすく言うと、遠くの人と電話している際、「今何してる?」と聞いてから、返事が返ってくるまで、若干のラグがある。僕らからすると、非常に短い時間であるが、僕らが電話で聞いている声というのは、数ミリ秒前の声であり、「現在」ではないのである。これが宇宙規模だったらどうだろう。「光年」という単位がある通り、光の速さで何年かかるか、である。太陽と地球は、光の速さで約8分。つまり、僕らが見ている太陽の光は、8分前の太陽の光、である。なので、現在ではないのである。このような記述を見た僕は、脳天を貫かれたような驚きを感じた。確かにその通りである。このような視点から時間について述べているのは、あまりないだろう。また、アインシュタイン相対性理論を分かりやすく説明している部分も、かなり面白い。

 そして、最も面白いのが「僕ら人間は、どのように未来と過去を区別しているのか」という箇所だ。ここは、僕も考えもしなかったところだ。この書評をお読みの皆さんにも一度考えてほしい。どのように、僕ら人間は過去と未来を区別しているのだろう?実は、僕ら人間は、出来事に対して「ぼやかす」ことによって過去と未来を区別しているのだ。つまり、「ここから先は過去で、ここから先は未来だ」という、実にあいまいな線引きによて、区別しているのである。皆さんにも心当たりはないだろうか?どのような基準で過去と未来を区別してるのか?聞かれると、僕は答えられない。また、これに加え、出来事に関するもう一つの事実を、著者は提示している。「過去」には変数がほとんどなく、「未来」は変数が非常に多くかなり乱雑となっている、という事実だ。言われてみれば、僕らが「過去」を考えるとき、時系列立てて振り返る。つまり、一定の規則性があるのだ。一方、僕らが「未来」に関して考えるときはどうだろう?よく、「何が起こるかわからない」という言葉を聞かないだろうか?つまり、「未来には規則性がなく、特殊な配置、規則性というものがまるでない」のだ。言い換えれば、僕らは、「どのくらい規則性があるか」で、過去と未来を区別しているのだ。そして、この規則性の見つけ方は、人それぞれ、十人十色である。だから、遅刻する人も多くいる、という考察を導き出すこともできるのだ。

 著者は、イタリアの理論物理学者であるカルロ・ロヴェッリである。現在は、フランスにある大学で研究チームを率いている。理論物理学者としては異例のベストセラー作家であり、著書に『世界は関係でできている』『すごい物理学講義』などがある。専門は「ループ量子重力理論」である。

 この本は、物理学者が書いただけあって、「難しい」と毛嫌いする人もいるかもしれない。しかし、食わず嫌いせずに、ご一読いただきたい。難しいなら、じっくりゆっくり読むのも、読書の楽しみだ。そのくらい、この本は、好奇心が収まらない本である。事実、僕もこの本を読んでから、数学の問題をもっと解いて、物理に進もう、なんて思ったくらいである。ちなみに、一個だけ数式が出てくるが、その時筆者は「この本に数式を持ち込んだことをお許しいただきたい」と書いている。

参考文献
カルロ・ロヴェッリ(2019~2021)『時間は存在しない』冨永星(訳) NHK出版

 

 

【書評】私たちに不足している必要な食べ物がわかる栄養学『一生役立つ きちんとわかる栄養学』 

お茶の水女子大学大学院教授であり、医師、医学の博士である飯田 薫子氏と、関東大学院大学栄養学部准教授である寺本 あい氏による一生役立つきちんとわかる栄養学。 

私事ですが、小学時代から20代後半まで体調管理というものを知らず、毎日が頭が働かず、だるい毎日が長すぎてそれが普通だと思って過ごしていた私ですが、 実家を出てから自分で自炊よするようになり、どのようなものがおいしくて健康にいいものがいいのかを模索するのに本書を手に取り、飲みすぎ以外は大体改善されました。 

三大栄養素であるたんぱく質、炭水化物、脂質とはそもそも何か? 
一日大体何キロカロリー摂ればよいか? 
たくさんの栄養素がありますが、どの食べ物をどれだけ食べれば自分に必要な栄養素を接種すれば良いかが見えてきます。 
美味しくて、栄養価があり、コスパの良い食事は何かを知るためのきっかけとなる一冊です。

 

 

【書評】人生はリセット可能か?『湯けむりスナイパー』

 

秘境の温泉旅館「椿屋」で働く男。その名を“源さん”。「リストラされたサラリーマン」という名目で働いているが、その実、かつての彼は、血塗られた過去を持つ一流の殺し屋だった。
今その彼が持つ望みは、この地で余生を穏やかに過ごすことだけだった。

原作者のひじかた憂峰は、狩撫麻礼の別ペンネームである。『ライブマシーン』、『バッドブラッド』で組んだことのある松森正が作画を担当して連載された。
普通ならば、こんな設定で始まるのだから、なんだかんだと過去のしがらみやら、裏社会から忍び寄る影やらといったヤバめのハードな展開が予想されるが、椿屋と源さんの周囲で起こるトラブルと、それに対処していく様が描かれていく。
確かに源さんの”得意分野”が発揮されてトラブル解決に至ったりはするものの、人と人の交流を捉えた人間ドラマがメインになっているのが面白いところだ。

本作は、2009年にテレビ東京系でドラマ化された。その全十二話は、遠藤憲一の初主演作品として話題にもなり、その後スペシャル版も二作制作された。
単行本は、『湯けむりスナイパー』全十六巻、『湯けむりスナイパー2 花鳥風月編』全二巻、『湯けむりスナイパー PART III』全三巻。
途中二度ほどの中断時期はあったものの、狩撫麻礼にとって十五年にもわたる最長期連載となった。

狩撫麻礼は言う。
人生はリセット可能か?
殺し屋だった過去を隠して、別の土地で生き直すことに賭けた男の物語。
秘境の温泉街の、それぞれに不幸せな負け組男女群像との深い交流の中から、やがて立ち現れてくる《光明》のようなもの。
人は愛し愛される他者の視線さえあれば、決して己の信念を曲げずに生きてゆくことができる存在である。

また、狩撫麻礼は或るところで、本作の主人公である”源さん”は、『ライブマシーン』に於けるそれ、つまり”有山礼二”であると言っている。
その言葉をそのまま受け取るのはどうかと思うが、かつて暗く幕を引いた礼二やその他のキャラクターたちに、今一度人情味溢れる安らぎの場を与えたい、そう願ったのだろうか。

湯けむりスナイパー
作者: 作・ひじかた憂峰、画・松森正
発売日:1999年6月29日
メディア:単行本

 

 

【書評】ガロンが来る。『魔神ガロン』

手塚治虫の漫画作品で、『冒険王』に1959年7月号から1962年7月号まで連載されていたものである。
テレビアニメの『鉄腕アトム』にゲスト出演したガロンを観たことはあったが、本作を読むのは初めてだ。
中古本屋さんで買ってきた単行本には、冒頭に作者自身の言葉がある。
「ぼくの初めての悪魔的なスターです。侵略ものというかたちのSF物語は、今ではずいぶんありますが、このガロンは、そのはしりの一つではないかと思っています」

手塚治虫はシチュエーションとしてのガロンの存在を、結構気に入っていたのかもしれない。
手塚漫画にはスターシステムと言って、同じキャラクターが色々な作品を跨いで登場することが常で、ガロンも『鉄腕アトム』だけではなく、『マグマ大使』や『三つ目がとおる』などにも出演する。いずれも主人公たちと対戦して強大な力で以て窮地に追い込むのがその役割だ。
そして、なんとびっくり、2004年には、永井豪による続編『魔神王ガロン』が連載されたが、掲載誌の『手塚治虫マガジン』が休刊したことにより、連載は中断されたと言う。

さて、そんな意外と人気者のガロンとはどの様な作品であろうか。
突然日本に落ちてきた謎の隕石。
調査に赴いた俵博士と助手の敷島は、東大の研究室へ隕石を持ち込むが、当初隕石と思われたその物体は、バラバラに分かれたパーツ群の集合体、塊だった。
二人掛かりで組み立ててみると、巨大なロボットが出来上がった。
しかし、様々なエネルギーやショックらの何も以てしても起動はしない。
俵博士は研究に没頭し続けていたが、十年後にとうとう起動に成功した。
だが、ロボットは無秩序に暴れ出す。
「ガローン」と叫びながら。
その姿からは理性というものが感じられなかった。
ガロンは、異星人が地球に送り込んだものだった。
その目的はテスト。地球人がガロンを正しく使用すれば善し。だが、もし悪用すれば地球を滅ぼすという。
暴れるガロンを正しく動かす鍵となるのは、ガロンと同時に送り込まれたピックという少年だった。

ということで、ガロン、敷島、ピックとその育ての家族、ガロンを狙う悪党達、それからガロンに翻弄される東京とその市民達の姿が描かれる。
しかし、相変わらずコマとコマとの間、それからストーリーの進みが早い。数ページもすると、もう次の展開が待っている。現代の漫画だったら、恐らく三倍程のボリュームになるだろうな。
そんな本作は、地球外生命体が送り込んできた物体が地球の安全を脅かすといった、モンスターアタックものの古典的な作品と言えるのではないだろうか。

魔神ガロン
作者: 手塚治虫
発売日:1968年3月1日
メディア:単行本

 

 

【書評】人々の医療はこのように進化していくのかもしれません『不老不死の研究』

 

この本は、帯にもある通り、「健康本」である。と、言いたいところだが、実は、そこら辺にあるような単純な「健康本」ではない。勿論、健康に欠かせない「食事、運動」などの生活習慣について書かれている。しかし、それ以上のことにも触れている。それは、「難病治療や介護、救急医療のための新技術」である。一見SFと言われるようなことを部分的に研究し、実用化している例も載せてある、言わば「最新テクノロジー本」でもあるのだ。研究段階にあることをここまで載せている本は、他に見た事がない。「今世界はこういう所を目指しているのか」を知ることができる本だ。

僕が、最も「面白いな!」と思ったのが、「人工冬眠」の話である。この本で興味深いのは、人工冬眠のテーマをNetflixの映画を紹介する形で始まり、そこから人工冬眠の研究について書いている点だ。そして、その中で僕の驚いた点は、「冬眠は神経細胞群であるQニューロンが大きく関わっている」「3週間飲まず食わず、心肺停止の状態で見つかったにもかかわらず生還した男性の話」だ。これを、冬眠状態と結びつけている点が、実に興味深い。僕も、これを読んでいて、様々な疑問が湧いてきた。と同時に、とてもワクワクを感じた。

他にも、世界初である装着型サイボーグ「HAL」の記述に興味を惹かれた。そもそも、僕自身「装着型サイボーグ」を初めて聞いた。この話では、最初に研究している教授について紹介し、その後、「HAL」を使ってどのように貢献したいのか、を書いている。そして、その後、難病の治療へのHALの活用論や、高齢者への装着、介護への実用化例へと話を進めている。難病や介護など、24歳の僕にしては、まだピンとは来ないが、もし母親が、筋力が衰えて要介護に近い状態になったら、と考えると、やはり他人事ではない。そのような点から、このHALの話は、非常に面白い。これから必要なテクノロジーになってくるだろう。

著者である堀江貴文さんは、かなり幅広い活動をしている。著書は多数で、HIUやゼロ高を主宰し、菅元首相や高橋洋一さんなどを始めとしたインタビューをしている。本書の他に『有り金は全部使え』『全ての教育は洗脳である』などを書いた。

この本は、特に若い人に読んで欲しい。僕も24歳だが、今寝たきりになっている人を見ると、「自分はいつまでも元気に動きたい」と思う。そのために、毎日の運動や瞑想、食事管理、睡眠など、体作り&メンテナンスをしている。他にもこの本には、テストステロンや生活習慣病についての記述もあるので、タバコやお酒を飲んでいる人は、是非教科書として読んでいただきたい。

参考文献
堀江貴文・予防医療普及協会(2022)『不老不死の研究』幻冬舎

 

 

【書評】少年院と境界知能の闇『ケーキの切れない非行少年たち』

<問題>丸いケーキを3人で公平に分けて食べる場合、どうやって切ったらいいでしょう?

少年院には認知能力が低く、このような問題さえわからない非行少年が多くいるという。書評
タイトルの「境界知能」とはIQ70〜84の範囲を指す。それは、全体の約14%。35人のクラスだとその中の約5人の割合である。

そうした少年たちの中には、少年院にきた際「楽しそう」と言う者もいるそうだ。どういうことか? 彼らは「少年院に入る」ことの意味がそもそも理解できていないのである。それは、更生も困難を極めることと思う。

『「子供を殺してください」という親たち』の鈴木 マサカズ氏が絵を担当している。『「子供を殺してください」という親たち』では家族の苦しみが多く描かれていたのに対し、本書では境界知能者本人の苦労が描かれる。
https://bit.ly/3Se7xLz

最近ニュースやSNSで話題の闇バイトに関与する描写もある。そのような行為に手を染めてしまう者の多くも境界知能者が占めるのではないか?と考えてしまう。

<正解>ベンツマークのように切る