HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】世界とは言葉で表現できることである。『論理哲学論考』

 

​​20世紀最高の哲学書を3冊は?と問われたら、ハイデガー存在と時間』と並んで必ず名前が入り、あと1冊は何だろうと考えることになると呼ばれるほど有名なこの著書、通称「論考」。

「世界とは言葉で表現できること全てである」との考えのもと、過去全ての哲学の問題に終止符を打ったと言われている。この本が出るまでは、例えば「本当の美」など言語で表現できない概念的な物を考えるのが哲学だったが、著者のヴィトゲンシュタインの主張は世界とは言葉で表現できる物であると仮定し、数学視点の論理学と言葉を用いながら説明、そして最後には「語ることのできないことは沈黙するしかない」という表現を使い、世界=言葉で表現できることと主張して本書は終わります。

その後この言語に注目し、言語ゲームという考えを提起します。「海」「電車」という言葉に対して全てのもしくは真の「海」「電車」を見なくても、ある程度みたら全体像を理解できるという性質を人間が先天的に持っているという事です。

当たり前と思われますが、この考え方は人工知能研究に用いられてGoogleのAIが猫を世界で初めて認識した手法、深層学習に繋がることにもなり、大変興味深いものでした。

とはいえ論考自体がとても難解で、解釈も人によって分かれるので自分なりに理解してみると面白いと思います。

著者:ヴィトゲンシュタイン
発売:2014/1/9
出版社:光文社

 

 

【書評】社会問題の解決するビジネスしかしない会社がある!『9割の社会問題はビジネスで解決できる』

 

貧困、過疎化、人種差別、耕作放棄地、フードロスなどグローバル化と並行して複雑な社会問題は年々注目されています。そんな社会問題を解決するため田口氏が創業したビジネスしかやらない会社、「ボーダレスグループ」が日本にはあります。

ただの社会起業家の集まりではなく、グループというだけあって基本的には独立経営してますが、資金やノウハウをお互いに提供し合う、相互扶助の仕組み「恩送り経営」を採用しております。こちらは2019年にグッドデザイン賞(ビジネスモデル部門)に選ばれ、2020年にはカンブリア宮殿でも紹介されるなど、各方面から注目を集めています。これは日本人の特徴を掴んだ面白い取り組みだと思います。

本の中では具体的な事例や、社会問題解決ビジネスのノウハウが書かれており読んでいるだけでも面白いですし、社会起業家育成にも力を入れて塾も開校しているので、これをきっかけに興味のある方は調べてみてください。社会問題に興味のある方はぜひ読んでみてください。

著者:田口一成
発売:2021/5/29
出版社:PHP研究所

 

 

【書評】働かざる者食うべからず?『ベーシックインカム』

 ベーシックインカムとは、全国民が最低限の経済的給付が資力調査なしに受けられる制度のことである。20年ほど前は倫理観からユートピア主義だと批判されてきたこの概念は、全世界的な運動になりつつある。

 無条件で給付が受けられると言ったらどう思うだろうか?労働者が減り財源確保のための税収入が減少し成立しないと思うだろうか?
  労働者人口が激減することは予測されていない。ヒトを生物学的に捉え自己実現を目指す生き物出てある限り、労働を継続する割合は常に一定数いるのである。

 最低限の生活費が支給されると、自己実現のために躊躇なくチャレンジすることのできる側面もある。また、障害などによって収入を得ることが困難な場合も個に経済的保証がなされることによって、就労をしなければならない状況が回避されスティグマを感じることがなくなる。

本来ならば、すべての個人は潜在能力を持ちそれを高めるチャンスがあるはずである。それが経済的要因によって阻害されていたら社会的評価は形成されないのである。

 残念ながらベーシックインカムは経済的、政治的側面から、国レベルでは施行されていないのが事実である。自分らしさという福祉を実現することが社会的生物としてのヒトの目的であると仮定すると、個が持つ能力を最大限に活用できる社会への変容を期待したい。

 本著は少しアカデミックな解説も多いが、総論としてはうまくまとまっている。ベーシックインカムの理解のためにぜひ手に取って欲しい1冊である。

 

 

【書評】勇気のでる言葉のシャワー『成功者3000人の言葉』

 3000人の成功者へのインタビューをもとに、彼らの名言ばかりを集めた本。
評者はこの本を耳読、つまりオーディオになっているもので本を聞くことをおすすめする。なぜなら文字通りこれらの言葉のシャワーを頭上から浴びることで、なんだか自分がバージョンアップした気分になれるからだ。多くの著名人のインタビュー本等を手掛けたライターの著者が、主にビジネスで成功した人から聞いた言葉である。その数3000人ともなると、もうその圧にひれ伏すしかない。

 例えばこんな言葉である。
「夢ではなく志を持て」 経営論として言っている。個人の夢には誰もついてこないが、社会に対して自分の事業でこう社会を変えるのだ、というのが志。これには社員も社会もついてくる。

「日常にこそ全てが宿る」
特別なときでも日常が出てしまうもの。
規則正しい生活、寛容である、時間を守るなどの基本的なことを、家族や友人、誰の前でも日常から変えていくことが必要である。

「お金はあとから付いてくる」
お金はあるに越したことはないが、お金があるからといって幸せとは限らない。成功者の多くは、お金のために成功するというのではなく、自分の理想のライフスタイルをイメージし、楽しんでいれば後から付いてくる。

「無いものを数えず、あるものを数える」
すでに持っているものに気づくこと。

「敢えてネガティブを選ぶ」
そのほうが成長できるから。

 これらを目で読み、耳で聴くことで、お経のようにすーっと心に入ってくる。
読書しなきゃと身構えなくとも、例え疲れているときでも、ぱっと開いたページにヒントが詰まっている。
そんな本である。

■著者 上阪 徹
■出版社 飛鳥新社
■発行日 2013年6月1日

 

 

【書評】勇気のでる言葉のシャワー『成功者3000人の言葉』

 3000人の成功者へのインタビューをもとに、彼らの名言ばかりを集めた本。
評者はこの本を耳読、つまりオーディオになっているもので本を聞くことをおすすめする。なぜなら文字通りこれらの言葉のシャワーを頭上から浴びることで、なんだか自分がバージョンアップした気分になれるからだ。多くの著名人のインタビュー本等を手掛けたライターの著者が、主にビジネスで成功した人から聞いた言葉である。その数3000人ともなると、もうその圧にひれ伏すしかない。

 例えばこんな言葉である。
「夢ではなく志を持て」 経営論として言っている。個人の夢には誰もついてこないが、社会に対して自分の事業でこう社会を変えるのだ、というのが志。これには社員も社会もついてくる。

「日常にこそ全てが宿る」
特別なときでも日常が出てしまうもの。
規則正しい生活、寛容である、時間を守るなどの基本的なことを、家族や友人、誰の前でも日常から変えていくことが必要である。

「お金はあとから付いてくる」
お金はあるに越したことはないが、お金があるからといって幸せとは限らない。成功者の多くは、お金のために成功するというのではなく、自分の理想のライフスタイルをイメージし、楽しんでいれば後から付いてくる。

「無いものを数えず、あるものを数える」
すでに持っているものに気づくこと。

「敢えてネガティブを選ぶ」
そのほうが成長できるから。

 これらを目で読み、耳で聴くことで、お経のようにすーっと心に入ってくる。
読書しなきゃと身構えなくとも、例え疲れているときでも、ぱっと開いたページにヒントが詰まっている。
そんな本である。

■著者 上阪 徹
■出版社 飛鳥新社
■発行日 2013年6月1日

 

 

【書評】あなたも成長信者になってませんか?『夫は成長教に入信している』

遊びや余暇を顧みず仕事や成長に没頭する夫を、妊娠中の妻は成長教に入信していると冷ややかな視線を送る。。他人の評価に怯える現代人に送る心の救済マンガです。

会社から昇進という水を与えられ成長という光を浴びる夫が、期待とは裏腹に活躍出来ずに疲弊して病んでいきます。その一方でオンオフを切り変え遊びに没頭してる部下の方が成果を出し活躍する場面が、HIUの趣旨にも通じるところがあって面白いです。

また会社や組織に入ると出世や成長を否応なく促され、絶対的な正義のように扱われますが実は幻想なんだと痛感されられる所がためになります。

他人の評価や周囲の期待を気にし過ぎる人達に読んで欲しいサクッと読めてグッとくる物語。

私もこの本の夫のように、やりたくもないような仕事に目をキラキラさせて昇進や成長を餌に頑張った時期を思い出しました。周囲を気にせず好きや大事なことをするのは意外に難しいのかもしれません。

発売日:2021/11/10
原作:紀野しずく 
漫画:北見雨水
出発者:講談社

 

 

【書評】郷愁、憧憬、思慕、切なさ、愛。『サウダージ』

原作者のカリブsong、つまり狩撫麻礼は、作画を務める相手の持ち味を活かそうと努める。
本作の作画は田辺剛。写実的というのか、無機的というのか、コミカルさやドタバタとか、人間性を前面に出したり、激した情熱的な物語には決して向いてはいない絵柄と作風の持ち主と思えた。
だからこそのこの選択か。この六つの短編集では、小泉八雲の『怪談』、フランツ・カフカの『断食芸人』、陶洲明の『桃花源記』を題材にした三作と、オリジナル三作で為っているが、いずれも舞台は中世期の欧州をイメージしていると思われる。

サウダージとは、郷愁、憧憬、思慕、切なさ、愛などの意味合いを持つポルトガル語だそうだ。
そういった狙い目を持って挑んだ本作に於いては、狩撫麻礼にしては科白が少ない。神秘性を持った寓話的な漫画作品を目指したのだろうか。
正直なところ、画風が読み手が気に入るかどうかで評価は大きく分かれるだろう。私はといえばあまり好みではない。
しかし、六作目「ビヨンド・ランド」は多少面白く感じられたのであった。

1.「サヨナラ、また会いましょう(小泉八雲『怪談』より)」
2.「断食芸人(フランツ・カフカの同名短編)」
3.「占い師ワーリカ」
4.「首吊り台」
5.「コンペティション
6.「ビヨンド・ランド(陶洲明『桃花源記』より)」

サウダージ
作者: 作・カリブsong、画・田辺剛
発売日:2015年3月9日
メディア:単行本

 

 

【書評】恋愛の悩みが一回転してバカバカしく吹っ飛ぶかも『スパルタ婚活塾』

 学校で教えてくれないこと、それは金融リテラシーと恋愛リテラシーではないかと思う。それはみな経験を積んで自ら覚える部類だろう。ただ、やはり【みんなどうしてる?】は知りたいのが常。しかも、あの『夢をかなえるゾウ』や『LOVE理論』の著者水野敬也氏の婚活塾とあれば、そーっとめくって中身を知りたくなる興味津々な塾、かもしれない、、?!

 案の定、王道の女性向け恋愛本をも研究した上で、男性目線での「切った張った」になっているためかなり王道を通り越している。因みに王道とは、本書の中でも触れられているが『ルールズ』や『ベストパートナーになるために』のような、異性の心理を汲み取った行動を促す本だ。

 勿論本書も異性心理を研究することを怠らない、なにせ題名にスパルタとつくのだ。
いかに異性目線でのファッション性など見た目を磨くことが大事か、や浮気を許すのか許さないのか、などについて、なるほどなるほど(あるある)と合点がいく場面がいくつもある。例えば、メールはすぐ返すな、しかし駆け引きしてる感はバレる。なので忙しいとウソをつくのではなく、本当に忙しくなればいい。これを「あれ?これ、結果的に駆け引きになっちゃってます?理論」略して「AKKKNM理論」である。なんでも理論をつけるネーミングににやりと笑って、なるほどという感じだ。

 しかし一風も二風も変わっている敬也節がまた面白い。例えば「おさわり四十八手」(本当に48種のいやらしくないさりげないさわり方で相手に気があるのかな?と思わせる方法を連打)のような、下ネタとギャグ満載のあるある(ないない)「理論」に多くのページをかけている点で、なんだかバカバカしくとも、もしかしてこれは芯をついているのでは?もいう気もしてくる。

 恋愛や人間関係に悩んでいる人にこそ読んでほしい。勿論、男からみるとこうだ、という典型例を知るための一冊であると同時に、なんとも著者の筆致に一本取られ、悩みがバカバカしくなるほど笑いが込み上げる一冊である(笑)

■著者 水野敬也
■発行日 2014年7月23日
■出版社 文響社

 

スパルタ婚活塾

スパルタ婚活塾

Amazon

 

【書評】答えは本書に書いてある『運動脳』

 

 

 最近評者はランニング中毒のようになっている。2日か3日に一度数キロ走らずにはいられない。体のため休めているが、本当は毎日走りたい。これは出場予定の大会間近だからというのもあるが、なんでこうなるのかちょっと疑問である。しかもマラソン初心者で、一年前には全く走ったこともなかった私が。
 そんな私がベストセラー「スマホ脳」よりも本国スウェーデンで読まれたという本書を読んだ。運動することが脳にいい、という趣旨の本だが、「では効果的な運動脳の作り方とは?」「なぜ私は走らずにいられないのか?」と精神科医の著者、アンディス・ハンセン氏に聞くイメージで本書を読んでみた。

 まず運動がいかに脳によいのか、について徹底的な書き込みである。ストレスで縮小する「海馬」や極度の心配性の人はその各部位が小さくなるという「前頭葉」、これらを運動が活性化するという。記憶をつかさどる海馬、感情が暴走しないように、理性を失わないように働く前頭葉。運動でその両方が活性化し、老廃物がしっかり取り除かれるというという。つまりストレス耐性が強くなるのだ。そのためには「長時間1回より短時間数回の運動」がいいそうだ。

 また、ストレスにより増えてしまう物質「コルチゾール」の血中濃度を低下させるにも運動が関与するという。運動は心拍数を上げるため、日常の不安やパニックの「予行演習」を脳にさせることになるそうだ。効果的なのは週2回以上の有酸素運動ウオーキングよりランニングのほうがより心拍数があがるので、このような予行演習効果も高いとのことだ。

 そして、運動は「ドーパミン」を増やす。カフェでも集中すると雑音が聞こえなくなるように、集中力を増すのがドーパミンだ。運動による負荷を多くすればするほど、つまり長時間の運動をするほど、脳のドーパミンは増える。ただし、この運動の効果はすぐ現れるのではなく、数か月かかるとのことだ。

 つまりは、「効果的な運動脳を作るには?」の答え、運動でストレス耐性をつけるためには、短時間ただし30分以上の有酸素運動を週2回以上続けることだと読み取れる。

 これだけでも素晴らしいが、2個目の質問「なぜ私は走らずにはいられないのか」にも答えがあった。それはどうも、45分以上の有酸素運動はエンドルフィンなどが出てきていわゆるランナーズハイの状態になり幸福感が増すから、と読み込める。しかもこれは古代長距離の狩猟のため、多少捻挫などしても痛みに鈍感になるよう、人間に備わった機能だろうとのことだ。

 皆さんも自分なりの質問をもってこの本を読みこなして欲しい。例えば「老化を防ぐには」「IQを高めるには」答えは本書にある。きっと今日よりよい明日が見えてくる筈だ。

■著者 アンディシュ・ハンセン
■発行日 2022年9月10日
■発行所 ㈱サンマーク出版

【書評】人生に投影される日本史が琴線に触れる『アラビア太郎』

 

交渉を重ね、油田発見の可能性に賭けた実在の人物アラビア太郎の波瀾万丈の生涯。

船上で生涯の盟友との出会う場面から始まる場面が美しく、小説のようにエネルギッシュだが漠然としたエネルギーに満ちた若者が描写されるその街は札幌。

彼の名は山下太郎。実在の人物である。野心に燃える彼は冷静で緻密な戦略家でありながらと向こう見ずに見えるほど大胆に行動する冒険家。

其々の時代で大胆不敵にほほ笑みながら、大地の恵みの玉蜀黍を齧りながら、其々の時代に爪痕を残す。

深紅の中ではためく日の丸国旗を背に大胆不敵にほほ笑むスーツ姿のスキンヘッドに黒縁眼鏡の男。そのタイトルはアラビア太郎。太の字も深紅に燃えています。

さあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。昇竜のように勢いのあった時代に満州で財を成した人物の気持ち良くなる気前のよさと、心優しき物語。すべて失う敗戦で、荒む心を乗り越えてたどり着いたは中東の、砂漠の中での長引く交渉、この難所を乗り越えてさらに挑むは石油掘り。その可能性にかけるのは、果たして妥当なことなのか、あたるか外すかわからない。ハラハラドキドキ波乱万丈のアラビア太郎の物語。