HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】人生はOutstandingに生きるから面白い『3ぷんでねむくなるえほん』

 

本書は、絵本が読み終わってから3分くらいで寝てほしいというたくさんの親側の想いにより作られた。また、子どもが親を寝かしつけるという想定もあり、一日の終わりにゆっくりと心を通わせられるのだ。

読み聞かせは子供にとっては「早く寝てほしい」という圧を感じてなかなか寝ないと言う。評者も子どもの頃、まだまだと一晩で何冊も読ませていたようだ。そのため、本書では背伸びをしたり、あくびをしたりとさまざまな工夫が施され、リラクゼーションやアタッチメントの応用が取り入れられている。実際に著者による読み聞かせを聞いてみたが、いつでもどこでもすぐに眠れるタイプでもないのに、かなり序盤のうちに寝てしまった。本書は大人にもかなりの効果があるようだ。

著者にとって絵本を描くことは自分の人生の全てであり、そのためなら何をするのも厭わない。制作過程では多くの人々へ調査し、絵本一冊を作るのに何千回も直し描いていく。しかし、一般的ではない著者の作風に対しては非難の声も多く、ようやく多くの人々の支持により再起をかけて挑戦したものの、その矢先に起こったさらなるバッシングや出版の差し止めは、著者の人生を再び苦しめた。

それは自分を支持してくれた人々をも裏切ることになると著者は大きな不安に苛まされた。また、そのバッシングは壮絶で、外に出ても週刊誌に追いかけられ、著者は日々追い詰められ再び生きていくことへの限界を感じたそうだ。どんなことがあったとしても人を追い詰めるほどのことは決してない。著名人だからといっても同じ人、何をしてもいいということにはならない。

そんな想いの中、試行錯誤し無事出来上がり、人々が手にできることになった本書をとてもありがたく思う。著者は、多くの人々の応援によりバッシングにも負けない世界に通用する絵本作家を改めて目指すそうだ。GoodやExcellentではなくOutstandingな生き方こそが人生をより面白いものにするものだ。

 

 

【書評】と、言われても「ひひひ」と笑ってしまう。『笑うな』

 

まぁ、その、筒井康隆である。
で、まぁ、その、ショート・ショート集である。
今回、時を経ての再読であったが、やはり面白いなぁ、この人は。
この、表題作でありトップバッターでもある『笑うな』にしても初出は多分1970年代で相当古い作品なのだが、いきなり笑わされた。笑いたくなくても「ひひひ」と笑ってしまった。
う〜ん。なんで「ひひひ」となってしまうんだろう。
だって、内容らしい内容がほとんどないお話なのに、こっちは「ひひひ」とくるのだ。
すっかり作者の策にはまってしまっている次第だ。

しかし、この作家はどういう執筆スタイルの人なのだろう。
或る時期から、前衛的な実験の数々を盛り込む様にもなったりしたので、作品自体のスタイルは結構各々で異なるのだが、基本的な執筆の姿勢とは如何なるものなのだろうか。
私としては、ナンセンスで、モノの勢いでめちゃくちゃになっていく過激なストーリーの印象が強いのだが、そういった話を書くときはノリ一発で一気に書いちゃうのかなー? それとも熟考を重ねて緻密な計算を以て筆を進めているのだろうか。

ううん。全然分かんない。

とにかく、一つひとつが大変短いので、気楽に読める一冊である。
スラップスティックでブラックなショート・ショート34編を、どうぞお楽しみください。

笑うな
作者:筒井康隆
発売日:1980年10月25日
メディア:文庫本

 

 

【書評】高く売る時代がやってきた?!『ネクストカンパニー 新しい時代の経営と働き方 ーー 情報・価値観の差が利潤になる』

 

「安かろう悪かろう」でもなく、「安くでも高品質」でもなく、「高く売る」時代がやってきた!いわゆるブランディングの時代なのだろうか?否、違った!価値観の差であった。では価値観の差ってどうやって見つけるの?この答えがこの著書の中にあった!

まず社会のニーズを見つけ、ウォンツを引き出す必要がある。自分が望むものが目の前にあったらどう思うだろうか?そう、高くても入手しようとするのである。これが高くても売れるメカニズムなのである。その根底にあるのは情報力である。著書の中で述べられているのは「想定外の人が想定外の使い方をしている情報」であった。例えば、電動自転車を考えてほしい。当初は高齢者向けに作られたものであったが、現在は子どもをのせる自転車として使われている姿を見る機会の方が多いのではないだろうか。この情報に気が付くことにより、企業は爆発的に売り上げを伸ばすこととなったのである。情報収集力と価値観の差の組み合わせによって、新たなウォンツを引き出すことができた例である。

またクリエイティブな発見に対する対面の重要性にも述べられている。コロナ禍の中でリモートワークが推奨されているこの時世の中であえての対面での会話である。やはりここは人間がソーシャルな生き物でありいかにノンバーバルコミュニケーションを活用しているかである。ここをおそろかにすると、忌憚ない快活な意見交換が成立しないのだそう。

ただ仕事を楽にするデジタル化はすでに終わった。これからは情報をいかに集め、その中で有益な情報を見つけ出し、価値観の差を見出していくのか、そういう時代に入った。その情報源は常に人である。情報を扱っていても、その源にあるのは人であることを忘れてはいけない。そんなことも教えてくれる著書であった。必読!

 

 

【書評】人生を楽しもう!『心の知能指数を高める習慣―IQ+EQ=総合知性』


これからはIQではなくEQ。IQは言わずもがな。EQとは自分の感情をコントロールすることで、最適な行動を取る能力のこと。ヒトが社会的な生き物である限り、人間関係を良好に保つことがうまく生きるコツとなる。大事なのはいわゆる頭の良さではない。社会人としてのヒトの能力である。果たしてEQは上げられるのか?

EQをあげられるのか?の答えはイエスである。詳しくは著書を読んでいただく方がわかりやすい。喜怒哀楽を感じる時、どう思って感じているだろうか?著書の中で実は感情はコントロールできるという点がキーになっている。コントロールというのはいささか強い表現かもしれないが、感情を利用するというのが正しい。この点についてはロゴセラピーで有名なVEフランクルの「刺激と反応の隙間」を用いて説明している。
「反応を選ぶ私たちの自由と力がある」と述べたのはフランクルだが、隙間を作ることによって得られるのは早計な自動反応を避けるという余裕なのである。人間関係の中で相手の言葉にどう反応するのか?それがEQの高さの違いなのである。もともと自然にできる人もいるだろう。だが考えてほしい。刺激と反応の隙間は環境で身につくものなのだ。

最後のページをめくって思ったことは、IQは遺伝要因が高そうだが、EQは環境要因が高いかもしれない。だったらEQなら高められるかも、、とほくそ笑んだ。人間の悩み事の99%は人間関係なんだそう。だったらEQ上げて、ストレスフリーな生活をしよう!

 

 

【書評】みんな「こんまり」になれる!『ビジネス書の著者になっていきなり年収を3倍にする方法』


いつか本を出版してみたいと思っている方多いのではないでしょうか?だけど二の足踏んでませんか?何があなたを躊躇させていますか?実は誰でも出版できるのです!あの世界の「こんまり」は片付け術について本を書きたく、模索していた中で「ときめき」というキーワードを武器に本を執筆したそう。そう、ネタは誰でも持っている!執筆するかしないかはあなた次第!

著書を見てどう思いましたか?論者の率直な意見としては、「胡散臭い」でした。(失礼しました)どうせ一流の方が執筆された一流の本でしょう?と思ったからです。この著書の中ではパラダイムシフトが起きます!むしろ一流の方が執筆された本よりも、ネタを持っている方の本の方が伝わるんだそう!
自分の人生を思い返してみてください。何かありませんでしたか?例えば、ブラック企業に勤めていた!こんなアルバイトしていた!自己破産したから気づいた!などなど。当てはまらない方が少ないのではないでしょうか?

まずは書いてみる!SNSでつぶやくよりも、本でつぶやいた方が影響が多いのです。それは承認欲求という意味ではなく、収入に直結するのです。だから本を執筆しましょう!
どうやって書けばいいの?というティップスは著書の中に書かれている。
本を執筆したいと思っている方。今ですよ!今がチャンスです!

 

 

8020じゃ足りない!『歯医者が教える歯のQ&A大全』


最後に歯科受診したのはいつですか?歯に痛みを感じてから受診するのは遅いのです!
たかが歯磨きとあなどるなかれ!健康寿命を延ばすキーは歯磨きにある!!

題名のとおり歯科医が執筆したこの本は、歯についてわかりやすく書かれている。
昨今歯というと審美的な点ばかりが注目されがちですが、歯そのものをいかに健康的に長く保たせるか?そこにフォーカスがあてられている。人間はどうやって栄養を摂っているのでしょうか?そう、口からだけなんですね。口から食べ物を入れ、咀嚼して、体内に入れることによって、栄養が体中にめぐっていくのです。つまり、歯が健康であることが大事なのです。
小学生の頃に習ったであろう歯磨きの仕方覚えていますか?歯磨きをいつ行っていますか?歯のケアって何をしていますか?
虫歯になってからじゃ遅いとはよく言ったもので、歯そのものを健康的に保つためには歯の定期検診が必要なのだ。

実は案外見られている歯。日本人はアメリカ人に比べると歯に対する意識が低いと言われています。ハリウッドスターのようなキラーんとした歯を目指そう!というスローガンを掲げる必要はなく、ただ健康に過ごすために歯を定期的にケアする重要性を再確認する機会を設けてみてはいかがでしょうか?
さぁ、恐るることなかれ、歯医者へ行こう!

 

 

【書評】ものを知れば知るほど世界は味わい深くなる『漫画方丈記』

 

 

本書は、日本三大随筆の一つ『方丈記』の漫画版。800年以上にわたり読み継がれ日本最古の災害文学と言われている。また、物事は変わらないことが常識だと思われていたその時代、火災、大地震、竜巻、遷都等、大きな出来事により日本は変化した。それはまるで現在の世の中のよう。人々は、このような出来事が訪れても相変わらず悩みは尽きず、まるで誰もが自分の姿を恥じるように自分と人を比較し、身分の違いや噂話を気にしながらより生きづらく心休まらない日を過ごしている。

 

これを書いた鴨長明は、出世もうまくいかず全てのものが嫌になったが、他人からどうみられるかより心の自由を求めた。ものを知れば知るほど世界は味わい深くなり、それはとても幸せなこと。どんな世の中であっても自分の心を夢中にさせるものを求め、周りと比較せず今あるものに感謝し、心配ごとなくただ穏やかに過ごした。心が安らかであることが重要であり、何事も心の持ちようで決まる。どんなに珍しいものを持っていようと、どんな立派な家に住んでいようと意味をなさず、お金の有り無しや、見た目の良し悪しで付き合う相手を選ぶのはとても虚しいと言う。

 

世の中とは逆行する道を歩み、鴨長明の住む「方丈の庵」は、シンプルで快適さがわかるワンルーム。4畳半から6畳ほどの広さだが、そこには生活の間、仏道修行の間、芸術の間にわかれ、外には懸樋もあり必要最低限のものだけで工夫次第で機能的で快適に過ごすことが可能なのだ。

 

ストーリーの合間の「もしも長明が現代にいたら」では鴨長明がYouTuberになる。承認欲求を満たすためにフォロワー数を増やし、あっという間に人気インフルエンサーとなったが、権力者との繋がりがばれて大炎上。なかなかユーモアに溢れている。さらに、巻末には『方丈記』の原文が掲載されているため漫画版との違いや、より内容を深掘りしてみたり、自分なりの解釈をしてみるのも面白いだろう。

 

 

【書評】ものを知れば知るほど世界は味わい深くなる『漫画方丈記』

 

 

本書は、日本三大随筆の一つ『方丈記』の漫画版。800年以上にわたり読み継がれ日本最古の災害文学と言われている。また、物事は変わらないことが常識だと思われていたその時代、火災、大地震、竜巻、遷都等、大きな出来事により日本は変化した。それはまるで現在の世の中のよう。人々は、このような出来事が訪れても相変わらず悩みは尽きず、まるで誰もが自分の姿を恥じるように自分と人を比較し、身分の違いや噂話を気にしながらより生きづらく心休まらない日を過ごしている。

 

これを書いた鴨長明は、出世もうまくいかず全てのものが嫌になったが、他人からどうみられるかより心の自由を求めた。ものを知れば知るほど世界は味わい深くなり、それはとても幸せなこと。どんな世の中であっても自分の心を夢中にさせるものを求め、周りと比較せず今あるものに感謝し、心配ごとなくただ穏やかに過ごした。心が安らかであることが重要であり、何事も心の持ちようで決まる。どんなに珍しいものを持っていようと、どんな立派な家に住んでいようと意味をなさず、お金の有り無しや、見た目の良し悪しで付き合う相手を選ぶのはとても虚しいと言う。

 

世の中とは逆行する道を歩み、鴨長明の住む「方丈の庵」は、シンプルで快適さがわかるワンルーム。4畳半から6畳ほどの広さだが、そこには生活の間、仏道修行の間、芸術の間にわかれ、外には懸樋もあり必要最低限のものだけで工夫次第で機能的で快適に過ごすことが可能なのだ。

 

ストーリーの合間の「もしも長明が現代にいたら」では鴨長明がYouTuberになる。承認欲求を満たすためにフォロワー数を増やし、あっという間に人気インフルエンサーとなったが、権力者との繋がりがばれて大炎上。なかなかユーモアに溢れている。さらに、巻末には『方丈記』の原文が掲載されているため漫画版との違いや、より内容を深掘りしてみたり、自分なりの解釈をしてみるのも面白いだろう。

 

 

【書評】ほめてもダメ!叱ってもダメ!部下育成では勇気を与えろ!『アドラー に学ぶ部下育成の心理学』

 

アドラー 心理学の考えをビジネスでの人材育成にどう応用するか教えてくれる本です。
実際のビジネスシーンを題材に、どう振る舞えばよいかアドラー 心理学の視点からとてもわかりやすく解説されています。

おすすめポイントその1「説明が具体的でイメージしやすい内容」です。
「勇気づけ」や「課題の分離」などの用語を実際に起こる上司部下の問題を例に解説されていてスラスラ読めます。

おすすめポイントその2「具体的な行動のヒントを与えてくれる本」です!
この書籍ではシチュエーション・考え方・行動がセットになっています。
「叱らずに気付きを与える、ほめずに勇気を与えるってこういうことか」と読み進める度になるほどと思えました。

この本は後輩指導や部下育成に関わる全てのビジネスパーソンにオススメです。
アドラー関連書籍を読んだことない人は目から鱗です!
読んだことあるけど考え方をどう活かせば良いかわからないという人は「なるほど」となります。
既にアドラー 心理学の考えをビジネスに応用できている方にとっては逆に物足りない内容かもしれません。

部下や後輩との接し方や教育について悩んでいる上司、先輩の方々へ。
この一冊が人生を変えるきっかけになるかもしれません。
勇気づけを実践して職場をさらに楽しい場所にしていきましょう!

 

 

【書評】もう日本では「高品質で安く」は作れない。『ネクストカンパニー 新しい時代の経営と働き方』

 

コンサルタントが発するビジネス書に於ける欠点と言うか、違和感とでも言おうかと思えることに、「え? そんな時代認識でモノを言う?」てな書物に出くわすことが、ままあることは否めない。
それは、著者たる皆さんが、例えば10年とか20年とかの年月をかけて培ってきた中小企業とのやりとりのあれこれをベースにして書しているからに違いない。
経験則を元にして示唆を放っているのだから、その内容は過去を参照し、その過去が未だ有用であることが前提となっていることになる。
だからこそ、それを読むこちらの身としては、「ん? 未だにそんなことをわざわざ前提にする必要あるの?」となる訳だ。
全否定はしなくとも、例え部分部分では取り入れるべき点があるにせよ、その様な書物に百点満点を与えられるものではない。
対して本書では、下請けに甘んじているうちにニッチもサッチもいかなくなり、生き抜く為には自らに改革を与えるしかなかった経営者が、その経験を踏まえた上で、現代とこれからの企業の在り方を論ずる内容となっていて、いかにも未来予想的だ。
そして、全編を通じるロジカルな物言いがまた、なかなか心地良い。

どうであれ、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が進まざるを得ないこの世の中。
低価格、大量消費時代の終焉。
そんな世情に於いて、大企業はどうあるべきか? 或いは中小企業は?
まず著者は、日本の全ての企業にとっては、これからは「高く売ること」こそが最重要と言う。
「コスト削減に未来はない」、「現在に最適化してはいけない」と言い、この様な考えでは、先細りしかないと言うのだ。
では、「高く売る」為には何が重要か?
重要視すべきなのは「情報」である。
しかし、AIによってもたらされる、単なるビックデータの活用となれば大手企業に軍配が上がるのみ。
中小企業に勝ち目は無いのか?
いや、そうではない。
では、そのカギを握るのは一体何なのか?
商品が利潤を生むことに欠かせないものとは、「価値観の差」だ。売る者が提示した商品価値に買う者が納得することで、取引と差益が生まれる。そして、「主観」を磨くことこが、情報を上手に捌き、その「差」を生むことに繋がる。
文化の幅、地域の幅、生活の幅を知り、そして人間の幅を知ることで、大手企業に比べれば貧弱となる収集データを、中小企業であっても有効に活用することが出来る様になるのだ。
DXは、コスト削減、効率化の為のものばかりと捉えるのではなく、優れた「主観」を身に付けるに有益な「余裕」を生む為の「奴隷解放」のツールにしよう。

「高く売る」為には、情報を収集する「検索力」を高めることだが、それには、ベースとなる知識を蓄えることが、まず肝要なのだ。得た情報の奥に隠れ潜む、膨大な知識を理解出来る様になることだ。
「主観」を磨くことによって、誰もが世間や大企業をあっと言わせるネクストカンパニーに成り得るのだ。


ネクストカンパニー 新しい時代の経営と働き方
作者:別所 宏恭
発売日:2021年9月11日
メディア:単行本