HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】寺田有希さんが好きになる『対峙力』

 

R25YouTubeで紹介されていて気になった本。対峙力が学びたいというよりは、いつも元気で明るい寺田さんの一ファンとして手に取った。

本書はYouTube番組「ホリエモンチャンネル」、「B.R CHANNEL Fashion College」などのMCを通して、寺田さんがいわゆる大物と対峙する際に準備していること、心構え、話運びを解説してくれる。「自己紹介では名前以外言わない」「嫌いな人や嫌な話題ほど深掘りする」など、面白い視点から人とコミュニケーションする際のtipsを教えてくれる。

本書を通じて何よりも感じたのは、寺田さんの健気さだ。ビジネス書としては珍しく、読み終わった時にホッコリした気持ちになった。22歳で芸能事務所をクビになり、現実と格闘しながらMCとして信頼を得ていく。その中で人をサポートする楽しさを見出し、自分が輝かなくても人を輝かせれば良いと思えるように。言葉の端々に優しさ、人当たりの良さをもちつつ、実はしっかりネガティヴも抱えているところがなんとも健気だった。
司会の仕事に関わらず、コミュニケーションを学びたい人は参考になることが多いと思う。あとホリエモンチャンネルの視聴者はぜひ読んでほしい。MCの大変さが分かって、より番組が面白く感じられるかもしれない。

寺田さんを引き続き応援していきたい。

 

 

【書評】ハウツー本を食わず嫌いしている方へ『新規事業の実践論』

 

「ハウツー本なんか読むな、実戦で学べ」。よく聞く話だ。勉強から入ろうとする奴は伸びない。インプットよりアウトプットしろ。私も賛成である。だから『新規事業の実践論』みたいな本はなるべく読まないようにしていた。しかし、である。読んだら意外と面白かった。

本書の特徴は、社内起業に焦点を当てている点だ。日本のサラリーマンは企業から生活を保障されている。つまりノーリスクで挑戦することができる。これから人生100年時代、会社に言われたことだけをやっている人間は定年後必要とされない。だからこそ、社内起業で新しい価値を生み出す力をつけよう、というわけだ。具体的には社内起業を6つのステップに分け、各段階で達成すべきこと、注意すべきことを教えてくれている。

一番心に残ったのは、最初の段階において「顧客に300回アプローチしろ」ということ。新規事業推進部には往々にして優秀な人材がアサインされるが、みなやってしまう失敗が「調査、資料作成、上司や関係部署への相談」などに多くの時間を費やしてしまうこと。そんなことするよりも、とにかく顧客にアプローチしてトライアンドエラーを繰り返せ、と。

オススメしたいのは社内で新規事業に取り組んでいる方々だ。社内起業に興味を持っている方にももちろんオススメである。私のようなハウツー本を食わず嫌いしている人も、騙されたと思って手に取ってほしい。

ハウツー本もたまには悪くないと思う。 

 

 

【書評】まずは試し読みを『フューチャー・ネーション』

 

NewsPicksパブリッシングが出している本を片っ端から読んでやろうということで三冊目。単行本サイズで300ページ超と結構長そうだなと思っていたが、50ページ程で断念した。読み切ってないくせに書評していいのかという気はするが、そんな奴のコメントも逆に参考になるのではと思い直し書くことにした。

本書はハッサン・ダムルジというビル&メリンダ・ゲイツ財団の副ディレクターが著した本だ。中国やアメリカなどの大国を始めとして多くの国がナショナリズムに走る中、各々が「世界市民」となる一つのグローバル国家を建設できないかというマニフェストを掲げている。まさしく副題の通り「国家をアップデートせよ」というわけだ。

読むのを断念したのは、ひとえに私の視界の狭さが原因だろう。たしかにグローバル国家という思想は素晴らしいと思う。国家同士が争うのではなく、感染症や貧困のような共通の敵に立ち向かうべきだと思う。ただ、その理想を目の前の現実に落とし込んで考えることが出来ないのだ。残りの250ページを読み切ったとしても、私の行動が変わるとは思えなかった。つまり私はこの問題に取り組むには未熟過ぎるのだと思う。

というわけで、オススメしたいのは国際問題への関心が高い方だ。購入する前に試し読みすることをオススメする。それを読んでもなお深くまで理解したいと思えたら買うべきだ。「自分にはちょっと早いかな」と思ったら、池上彰さんなどもっと分かりやすい本から入った方が良い。

私もこういう本を読み切って語れるような人になりたい。

 

 

【書評】横浜がまだ特別な街だった頃。『さまよう薔薇のように』

 

げげげ。なるほどそうか、もう約40年前の作品になるのか。矢作俊彦の割りかし初期の名作の一つ。ハードボイルド小説である。
であるので、事件が起こってそれが物語の中心となるのであるが、なかなか変わった主人公設定がまず記憶に残る一冊だ。
主人公の「私」は、かつて検察事務官をしていたが、今は駐車場屋。関内のクラブ街に路上駐車している58台の月極顧客の車を1〜2時間ごとに少しずつ動かし、駐車違反から逃れさせることで生計を立てている。顧客のほとんどはホステスか水商売がらみで、警察には、かつての人脈を上手く使いなんとか黙認させている。
その夜の街に生きる男「私」が主人公である中編三作を一冊にまとめたのが本書だ。

「船長のお気に入り」
店の客が人探しをしているので助けてあげて欲しい、とクラブのホステスから頼まれ、19歳の女子大生の行方を探し出す。しかし、手がかりは「中華街のDアヴェニューを歩いていたようこという名の女」それだけだった。

「さまよう薔薇のように」
絢子というホステスがふいに姿をくらました。駐車場屋は、知り合いの県警本部の防犯部長からその女のスペアキーを渡して欲しいと依頼を受ける。彼女は顧客の一人なのだった。
どうやら彼女はある犯罪に関わっているらしく、当てにはしていないが、一応車の中を改めたいとのことだった。
駐車場屋は、キーは渡したが、他にもまだ差し出すべきものを手の内にしたままだった。それが災禍を呼ぶ。

「キラーに口紅」
顧客の車のトランクから死体が出てきた。
何故トランクなんか開けたのか。死体のマフラーの端がトランクの蓋からはみ出ていたのだ。
駐車場屋には全く見知らぬ男の死体。見なかったことにして、難から逃れようとするが、トラブルを避けることは叶わなかった。

という具合に、刑事でも探偵でもない主人公は、稼業絡みから事件に巻き込まれていく。
矢作俊彦と言えば、優れた比喩表現、洒落て気取りの利いた科白、巧みな節回しが定番であるが、初期のハードボイルド作品であるにも拘らず、本作ではドライな軽妙さも加味されている。
そこに中編揃いということも相俟って、すっきりとした印象を受ける三作だった。

しかし、本作を本当に楽しめる人は限られてしまうかもしれない。
何故ならば、関内を中心に、末広町、黄金町、加賀町警察署、馬車道、元町、本町通りなどなど、横浜の地名が当たり前の様にやたら出てくる。しょっちゅうその界隈に足を運んでいるこの身としてはその辺りも楽しめるポイントなのであるが、さて、土地勘が無い方にとってはどうかな。
横浜に住む者に与えられた特権ということにさせていただいておこう。


さまよう薔薇のように
作者:矢作俊彦
発売日:2005年11月25日
メディア:文庫本

 

 

【書評】仕事仲間を道具と思っていませんか 『他者と働く』

 

「他者と働く」というタイトルに惹かれた。なぜかは分からないが、漠然と「他者と働く」ことの答えをこの本が教えてくれそうな気がした。ちなみに副題は「分かり合えなさから始める組織論」。「組織論」と書かれているだけあって、個人に留まらず分かり合えない組織同士の問題も取り扱っている。

世の中には情報が溢れているのに、なぜ個人同士、組織同士の衝突は絶えないのか。解決策が無いからではない。人や組織の「ナラティブ(物語)」が異なるからだ。ではどうすれば良いか。本書ではそのナラティブ・アプローチが詳しく語られている。

乱暴にも本書を一言で言ってしまうなら、「相手の立場で考えよう」だ。そんなの小学生でも知っている。しかし、実践できないのだ。電車の乗車を並ばない人に対しては腹が立つし(今日の私)、話の長い上司にはイライラするし(今日の私)、集中している時に電話をかけられるとまたこの人かと小馬鹿にする(今日の私)。勿論聖人君子になろうとは思わないが、仕事を進めようと思ったらどこかで必ず衝突が起こる。そんな時に相手の立場に立って考えられると、お互い気持ち良く仕事が出来たりするのだ。

オススメするのは、「仕事仲間を道具だと思ってませんか」という問いにピクッと反応した方。「そんな冷たいことしない!」と胸を張って言えますか?私は言えない。ちなみに本書でも道具として扱うことを否定していない。時と場合によっては道具として扱う方がスムーズなこともある。しかし、全てがその調子だと必ずナラティブの罠に嵌まり込む。そんな自覚が少しでもある方には是非読んでほしい。

楽しく他者と働こう。

 

 

【書評】私たちはビジュアルデザインに取り囲まれている。『ビジュアルデザイン論―グーテンベルクからSNSまで』

 

欧州発のデザイン書のベストセラーなのだそうだ。
著者であるRICCARDO FALCINELLI(リッカルド・ファルチネッリ)は、グラフィックデザイナーやデザイン理論家として超一流の人。
イタリアの主要な出版社でのデザイン活動を行ない、知覚心理学の教鞭を執り、国際的グラフィックマガジンの『グラフィックデザイン』の共同ディレクターでもある。そして、これまでのデザインに関する幾つかの著作もイタリアでベストセラーになっているのだという。
おしえて!えらいひと。
と言うことで、本書は、多角的なビジュアルデザインについての考察を網羅的に、そして古くはローマ時代から現代にまで、時さえも股にかけて語りかけてくる。
その語り口は冷静にしてロジカル。しかし時にはシニカルにデザインに対する示唆も放つ。
かなりの量の知識が詰め込まれているので、デザインだけではなく、マーケティングブランディングに興味のある方々にも、純粋にもの凄くタメになる一冊である筈。

しかし。
私がこの著作を手にした動機はなんであったのかというと、実はデザインという面から現代ビジネスにもたらすものが何やら書かれているのではないか、つまりビジネス本なのだろうと思ってのことであったが、それは全くもって当てが外れた。
なので、正直言うと、読み始めて即、「これはしまった」と思ったが、こうなっては仕方がない。ちゃんと読了しなくては。途中放棄という選択肢はないのである。
とはいっても、デザインについてボンクラな私にでも、本書からの学びはちゃんとあった。
私がなるほどなと面白く感じたのは、広告や本の表紙、ミュージックビデオなどだけではなく、例えば鉄道の時刻表、銀行口座の明細書、下着のタグなど、美的な作品以外にもビジュアルデザインは入り込んでいるという事実と、その観点だったりする。
2センチ幅に収まるように織られた洗濯表示も、誰かがデザインし、あらゆる条件や目的のもと適切な選択を経て完成されたグラフィックのプロジェクトなのだというのである。
それからもう一つ面白かったのは「書体」の変遷である。ローマの昔から殆ど変わっていないアルファベット。しかし版画から始まる印刷技術の進歩と歩みを共にし、次第に様々なフォントが生まれ、流行とスタンダードを並行して作っていく様はなかなかに興味深かった。

本書の意図するところは、手段を所有しているだけでは不十分であるということだ。
「デザインの理解とは、その表面的な形態を認識することではなく、デザインが誰のメッセージを伝えているかを知ることなのです」
眼差しのために設計されたものすべてが用いる伝達手段と知識の考察。
あらゆる意味からのデザインを論じている本書は、センテンスの数がもの凄く、ページ数もこれまた凄いボリューミーなのであるが、デザインの本質を理解したい向きにはお薦めである。

はぁ〜、やっとこさ読み終わったぜ。

 

 

【書評】モテるのは○○男『あなたの脳のしつけ方』

 

著者は皆大好き中野信子先生。
本書には様々な章があるが私がピックアップする章はもちろん「モテ力のしつけ方」一択。私の書評のラインナップを見たら分かると思うがエロとモテで打線が組まれている。ノンストレスで呼吸するように考えているのだから仕方ない。

この本には、なんと「これができれば100%モテる!」というテーマの章がある。
そこに書かれた超究極のモテ術とは、相手の「隠れた一面」にスポットを当てることである。
隠れた一面とは
①  自分も他人も分かっている自己=「開放の窓」
②  自分には分かっているけど他人には分かっていない自己=「秘密の窓」
③  自分は気付いてないものの他人には知られている自己=「盲点の窓」
④  自分にも他人にも分かっていない自己=「未知の窓」
この4つである。
このなかでも特に②、③の窓を「俺だけは知ってるよ。」という体で言い当てれたら勝ちである。相手は勝手に運命を感じる。はず。。

更に記憶しやすい言葉にすると、その人の『こだわりポイント』を指摘する。
もっというと、その人が隠れて頑張っているポイントに気付いて褒めたり労ったりすることである。『わたし実はね、○○を頑張っているんだよ』というポイントである。

この術をバーテンダーやキャバ嬢はしっかり使いこなしている。
私たちも見習って職場のお局様に使っていこう!
変な仕事をフラれないように!

ただ、ポイントがずれると知ったかぶろうとしてきたキモイ奴になるので要注意!

 

 

【書評】佐々木さんが気になる人へ『編集思考』

 

NewsPicks初代編集長、佐々木紀彦さんの本。最近見城徹さんや箕輪厚介さんの本を読んだので、編集者繋がりで読んでみた。とはいえ編集者向けの本というわけではなく、どんな職種であろうと活かせるのが編集力だという話。

では編集力とは何かというと、「選ぶ」「つなぐ」「届ける」「深める」の4ステップから成る。素材を選び、発展的なものと繋げ、適切な時間軸で思想・真実を伝え、お客さんとの関係を深める。具体的な事例をNewsPicks、Netflix、ディズニー、WeWork(出版当時はまだ騒動になっていなかった)から紹介するという構成だ。

強く共感したのは、編集思考を鍛える方法である。編集思考の源は、教養、人脈、パワー(権力や権威)だという。それらを磨くため、古典を読み込むこと、歴史を血肉とすることが推奨されているのだ。以前どなたかのVoicyでも同じような話をされていた。新聞やニュースは読むな、フロー情報に流されるな。それより時代の洗礼を受けた古典を読め、と。古典というと岩波新書のお堅いイメージがあるが、光文社のシリーズは読みやすくリニューアルされているとのこと。

個人的にオススメしたいのは、佐々木紀彦さんがどんな人か気になっている人だ。よくHorie OneやNewsPicks企画のコンテンツに登壇される、メガネのオシャレな方である。物腰柔らかに見えるが、本書を読むと結構毒を持った方なのだと知った。まだまだ人間観察力が足りないなと反省する。

令和に生きるビジネスマンはもちろんのこと、佐々木さんが気になる人はぜひ読んでほしい。

 

 

【書評】今は味わえない世界『たった一人の熱狂』

 

「読書という荒野」に引き続き、見城徹さんの著作。前作でもエネルギーをもらったが、それが中毒になって本作も読んでしまった。「圧倒的な成果を出して周りを 捻じ伏せろ」。本作も一歩踏み出す勇気、批判に負けず踏ん張る力を与えてくれる。

本作は755というSNSで、見城さんが読者の質問に本気で回答した内容を元に構成されている。各章の扉絵で見城さんがSNS風に呟いている演出が心温まる。最近のネット事情に疎い見城さんが、不器用なりにも真剣に若者達と向き合っている様子が伝わってくる。その様子がカッコいいと思うと同時に、なんだか可愛いなとも思えてしまう。

前作は見城さんがこれまで読んできた本を元にかなりディープな話をしていたが、本作はそれに比べるとライトに感じた。むしろディープな内面を持つ見城さんが、ライトな若者達と接するとこのようなコントラストが生まれるのかという面白さがあった。個人的には前作のようなハラワタを曝け出すような話が好きだが、これはこれで新鮮だ。

オススメするのは、やはり今の生活に物足りなさを感じている若者だろう。楽しいけれど何か足りない、不自由はないけれどもっと冒険したい。そんな人は一読してみると、新たな世界が広がるかもしれない。今の時代では味わえない、奇天烈で情熱的な世界を見城さんが垣間見させてくれる。

癖になるのでぜひ。

 

 

【書評】青野くんは付き合って2週間で死にました『青野くんに触りたいから死にたい』

 

主人公は男性経験ゼロの女子高生。男の子と喋っただけで「彼氏できちゃうのかもしれない!!」となるような天然だ。初めて喋った男の子に告白し、交際を始めるが、2週間後彼氏は交通事故で亡くなってしまう。

その後彼氏は幽霊となり、主人公と一緒に過ごすことになる。「触れ合えない2人のラブストーリー」。一見そんな王道恋愛マンガに見えるのだが、なにか違和感。不可解な事件も起こり始める。ホラー?

ブコメからホラーへ展開。かわいい少女マンガ風の絵柄も無機質で怖く見えてくる。彼氏の目がやはり死んでるというか。

本作は作者の椎名 うみさんが息抜きでTwitterに投稿した「幽霊の男の子と付き合ってる女の子」の話を原型とする。

一途な女子高生が作り出す狂気・暴走。今後の展開がまるで読めない。暑い夏のお供にホラー漫画はいかがでしょうか?