著者は2011年より毎日、日常によくある身の回りのものを使って作った作品を「MINIATURE CALENDAR」に投稿し続けている。本書は、その作品を紹介した作品集である。
何年か前に、個展の片隅に飾られていたものを目にしたことが、作品との初めての出会いであったが、現在ではNHK連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバックとして使われたこともあり、日本全国さらには海外など様々な場所で作品展も行われ、益々の人気となっている。
著者の作品は気取らないユーモア溢れる雰囲気でありながら、斬新で面白い発想があり、さらに、それぞれの作品につけられたタイトルの一言がとてもユニークなところが、なんとも言えない味わいだ。
評者が今回の作品展で実際に鑑賞し最も印象的だったのは、やはり「ブロッコリー」を使った作品だ。本書の表紙に掲載もされているが、実際に作品がプリントされた携帯ケースまで購入してしまったほどインパクトのあるものであった。
その作品は、ブロッコリーを木に見立て、たくさんのブロッコリーが集まり森となり、小さな人々がブロッコリーの小陰でひと休み。また、ツリーハウスのようなブロッコリーのてっぺんに登る人も何とも愛らしい。こうなるとブロッコリーは、もう木にしか見えない。
また作品の面白さもさることながら、なんといっても素晴らしいのは作品を観る人々の笑顔が耐えないことだ。老若男女が、小さな作品を間近に観て夢中で写真を撮る姿は、何とも微笑ましく感じられた。
作品の面白さを文章で伝えるのはなかなか難しい。そのため、本書で作品を観ることにより、実物を観るような面白さがリアルに伝わることだろう。また写真でしか味わえない実物とは異なるマジックも作品の面白さに一役買っているようだ。