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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】ワインを一口飲むだけで、アートの世界が脳裏に広がる『神の雫 (1)』

世界的ワイン評論家であり世界有数のワインコレクターの「神咲 豊多香」の死がきっかけとなり、その遺言書に残された市場価格で約20億円ともいわれているワインコレクションをかけての争いが行われる。

その争いとは、12本のワインとその頂点にたつ「神の雫」と呼ばれた幻のワインが何年作の、どのワインかを1年後の期限までに言い当てることができたものへ、遺産のすべてを譲り渡すというものだ。

身内は息子の「雫」ただ一人だが、亡くなる一週間前にワイン評論家でワイン界のプリンスとも言われている「遠峰 一青」と養子縁組をしており、この二人で争うこととなってしまった。

主人公でありビール会社の営業マンの「雫」は、父親から子供の頃より味の違うブドウジュースを飲まされたり、味や匂いを比べさせられたりしてきた。またワインとは関係のないような、詩集、絵画、音楽にも精通するように言われ続けてきたそうだ。

そのため「雫」は「ワインを一度も飲んだことがない」とは言うものの、一口飲んだだけで、そのワインのイメージする音楽が聞こえてきたり、映像が浮かんできたりと、驚くべき感性を持っていたのだ。

評者も子供の頃から、味覚に関しては、しつけられてきた。インスタント食品や冷凍食品、ファーストフードなどは、物心がつくまでは、一切食べたことがなかった。そのおかげか、味覚はかなり繊細だと思う。お酒は飲めないのだが、試飲や飲み比べをした際には、明確なその違いがわかり、非常に面白い。

また、今までの人生の中でたった一度だけ、お酒が美味しいと感じたことがある。それは、カクテルを作ってもらった時だ。その味を再現できないのがとても残念だが、その時の感動は忘れられないものである。

なぜなら、レストランでカクテルを作ってもらっても、またビールや日本酒、ワインなど、なにを飲んでみても、なぜかお酒が美味しいと思えたことはないからだ。そのため「美味しいと思えて、飲めるお酒」に出会えることは、評者にとってはとても貴重な経験なのだ。

お酒はたくさん飲めなくても、食事の際にその料理にあったものや、その土地にしかないもの、またその国にしかないお酒が飲めたら、より人生が楽しくなると思う。そのため、評者にとってお酒は、人生の中でまだクリアできていない課題のようにも感じる。

本書で表現されているように、いつか一口お酒を飲んだだけで、アートや音楽がイメージ出来るようになれたら、より面白い人生になると思う。

神の雫(1) (モーニングコミックス)

神の雫(1) (モーニングコミックス)