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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】生まれ変わりなんてあり得ない? 『月の満ち欠け』

第157回直木賞を受賞したこの作品は、一風変わった恋愛小説だ。

主人公の瑠璃は結婚した後に出会った大学生と運命的な恋に落ちる。だがその後、瑠璃はあっけなく電車に轢かれる事故で死んでしまう。

瑠璃は一度死んでまた別の人間として生まれ変わり、過去の記憶を頼りにもう一度自分の運命の人を見つけようとする。そして彼に再会するまで何度も死んでまた生まれ変わる。

生まれ変わりを続ける瑠璃の親や友人などは、みな瑠璃に翻弄される。「この娘はあの女の生まれ変わりなのかもしれない」ということを感じながらも信じたくない人、全く気づかない人、信じるしかないと思う人、信じて瑠璃を助けようとする人などが、それぞれの目線から瑠璃について語ることで小説は展開していく。読者は生まれ変わりをつづける瑠璃の正体が見えてくるごとに、「生まれ変わりなんてありえない」と思いながらも物語にぐいぐいひきこまれてしまう。

「生まれ変わりなんてバカバカしい」と一笑に付すのはもったいない。運命的な愛を生まれ変わりというミステリアスなテーマで描いたこの本は、物語の世界にどっぷりはまる楽しさを教えてくれる。

月の満ち欠け

月の満ち欠け