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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】絵画を見る視点が変わる! 『常設展示室』

生きていて苦しいとき、絵画によって希望が湧いたり、人の思いに気づいたり、自分の間違いに気づいたり、人と人とを繋いだり…
色々な思いを抱えた人たちが生き方を変える絵画に出会う、6編短編集。

絵画に携わる仕事をしている人たちが各編に登場しますが、私はそういう仕事や世界は全く知らないなと思い出しました。世界を飛び回り、とてもハードな仕事なんだなと感じる場面も数々あります。
話の中には、そんなハードさゆえに家族の思いに寄り添うことが出来ず悲しみ、でも絵画によって家族の気持ちに気づく話もあります。
5話目は、あの、バンクシー騒動がチラッと頭をよぎりました。高い絵を商売道具にしているお金持ちの彼との決別。全てを脱ぎ捨てて前に進む彼女の姿が爽快です!
最後は、絵で家族をつなぐ感動の話。幼い時に家族と離れてしまう辛い過去をもつ主人公が懐かしい一つの絵画と再会!?
6編に出てくる主人公たちは皆、優しくて真面目で、そんな人たちが絶望に直面していく姿に自分も絶望したり、最後には心から「よかったぁ!」と独り言を言ってしまうほど感情移入してしまいます。

著者の、原田マハさんは、馬里邑美術館、森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館に勤務後、フリーのキュレーターとして独立。
本書の帯にも「アート小説の第一人者」と書かれてあり、絵画にまつわる著書が沢山ある。ドラマ化や映画化した作品も手がけている。

「運命を変える」とか「人生のきらめき」などの前向きなフレーズに弱く、そういう本は思わず手にとってしまう私。本書もTBS「王様のブランチ」で見たときに、絵画に興味を持ったことがなくてもそのフレーズに負け、しかも絵画との出会いで運命が変わるなんてロマンがあると思い、購入。
飽きっぽいし長編を読むことに抵抗がある人や、読書をあまりしたことがないという方には短編集はオススメです。

私のような絵画に無知な方は、本書だけ読んでいては有名な絵画も自分の想像の絵になってしまうので、ぜひ、本書に出てくる絵画をググってみてください。そうしないともったいないです!そうしたら「あー!こういうことか!」と、納得いくことがあり、内容はもちろん、絵画と主人公の思いを照らし合わせることで、とてもおもしろく読み進めることができると思います。

常設展示室: Permanent Collection

常設展示室: Permanent Collection