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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】カクカクしたのがカッコイイ 『ちびしかくちゃん(1)』

本書は、著者さくらももこ氏の作品である「ちびまるこちゃん」を著者、自らがパロディした作品である。

主人公は一見「まる子」と見間違えるほど、よく似ているが、その特徴は顔が四角い「しか子」だ。しか子一家は、全員顔が四角い。そのため、ストーリーもほのぼのというより何だか「角」がある。

主な登場人物は「ちびまるこちゃん」とほぼ同じだが、名前や雰囲気などを少しかえている。いつも優しいおばあちゃんも本書では、しか子の言動に対して、激昂し「人間失格だ!」と言ったり、お姉ちゃんは、しか子と同じ部屋が嫌だと言い、同じ部屋にいたいのなら「気配を消して!」という始末だ。なんとも、しか子には誰もが冷たい。

そんなしか子は、学校で友達から顔が四角いと、からかわれる。「なぜ顔が四角いのか?」と家族に疑問をぶつけると、家族は「カクカクしているのがうちの特徴だ!」と言い、取り合わない。

結果、四角はかっこいいから、嫉妬されているのだ。というところで、落ち着く。恐らく「ちびまるこ」の「丸」に対して、「四角」なのだと考えられるが、何とも理解不能だ。しかし、それもまた面白い。

本書はまさに、さくらももこワールド 全開の独特な世界観が、読んでいると自然と笑みを浮かばせる。そのため、人前で読むことは避けた方がいい。恐らく周りからみれば「怪しい人」にうつるだろう。

本書は短編漫画24巻により、構成されている。1巻は約5ページのため、忙しい人でも少しずつ隙間時間に読むことが可能だ。さらに本書の特典として、スペシャル漫画「シカデレラ姫」 が掲載されている。

また、偶然にも先日、一緒に仕事をしている静岡県出身の人が、さくらももこ氏の同級生だと知った。当時はバブル真っ只中の学生時代、みんなが遊んでいたときも、いつも黙々と漫画を書き続け、その時に書いていたのが「ちびまるこちゃん」だったらしい。さくらももこ氏の学生時代という貴重なプライベートを知ることができた。

本書は、さくらももこ氏の新たな一面を垣間見ることができた一冊である。