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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】信頼できる「他者」とは?『友だち幻想』

本書は、学生時代や社会に出てからの複雑な人間関係について、必要以上に傷つかず、しなやかに生きていく方法を解説された書籍である。

「他者」と「他人」という言葉があるが、「他者」は「他人」という言葉で置き換えても問題ない場合があるが、それではニュアンスが違う場合もある。親に対して「他人」というのはないでしょう。ならば血縁関係のない夫婦や恋人、親友も他人なのだが何か冷たい感じがする。

しかし、ここで「他者」という場合、なにも人とのつながりを冷たくつきはなすこと自体が目的なのでない。どんな近い存在であろうと、自分以外はすべて「他者」つまり自分とは違う考えや感じ方をする他の人間であるということなのだ。

「人と繋がりたい、でも傷つくのは嫌」という一見矛盾した自分とどう向き合えばいいのか。それはこの人は自分にとって「信頼できる他者」だ、と思える人を見つけるということが必要になってくる。しかしその場合、信頼できる「私と同じ人」を探すというよりは、信頼できる「他者」を見つけるという感覚が大事だ。

「自分のことを丸ごとすべて受け入れてくれる人間関係」というのは幻想なんだという、どこか醒めた意識は必要だ。でもそれは他者に対して不信感を持つということと決してイコールではないということはしかっり理解して人間関係を深めていけることが現実世界で大切なのではないだろうか。

友だち幻想 (ちくまプリマー新書)

友だち幻想 (ちくまプリマー新書)