HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

キャバクラの商売の構造とは?『キャバ嬢の社会学』

本書は著者が修士論文を書くため、実際にキャバクラで働いて、どういった商売のシステムなのかを探ぐり、人間の心理、社会学を交えて記録されている。

客はキャバ嬢を「普通の女の子」として扱いたがる。そして、店の外で会おうとする。だから、長期的な関係を築くには、「私はキャバ嬢であり、あなたはキャバ嬢の客である」ということを認識してもらう必要がある。

しかし客は「水商売の女には騙されたくない」と考えており、慎重にキャバ嬢の態度を見極める。少しでも自分が「お金目当ての存在」だと分かれば一気に引いてしまうのだ。

キャバクラはあくまで、お金を介した疑似恋愛の空間。客は「騙されるのではないか」という不安を感じている。もちろんキャバ嬢は全てお金のためだが、それは慎重に隠しておくべき態度だ。

それを伝わらないように客は客として割り切り「素の自分」を出し、「普通の女の子らしさ」をアピールすることによって、「私は悪いキャバ嬢ではない」ということを何とか伝えようとしている。

そして、最終的には客を上手に「応援型、ファン」のようなかたちに持っていくこと。これができれば長期的な「客とキャバ嬢」という関係を前提に付き合いができる。

このご時世、雇用が不安定の中、高収入なキャバクラは、若い女性にとって魅力的な仕事なのは間違いない。だが、彼女たちにとっては「普通の女の子だけど、水商売の女」という矛盾に困惑しながら抑圧的に働いている場合もある。それに対処しようと、さまざまな工夫をこらしながらあくせく働くのも彼女たち自身の姿なのである。

 

キャバ嬢の社会学 (星海社新書)

キャバ嬢の社会学 (星海社新書)