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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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大学院レベルの歴史書『マンガの歴史 第1巻』

『マンガの歴史 第1巻』著者:みなもと太郎岩崎書店、2017/8/31)

40年近く続く『風雲児たち』の連載を行い、デビュー50年。マンガの歴史を全て体験して来たみなもと太郎氏による『マンガの歴史』書である。第1巻は戦前から1960年代後半までを扱う。

まずは、目次を見ていただこう。歴史書は何が載っているのかが重要である。
第一章 終戦まで
第二章 手塚治虫と『新宝島
第三章 貸本マンガと『漫画少年
第四章 トキワ荘
第五章 劇画の誕生
第六章 少女マンガと水野英子
第七章 週刊少年マンガ誌の登場
第八章 『W3』事件と『巨人の星

マンガ好きならばすでにこの本の素晴らしさが感じられるであろう。完全に大学院レベルの内容である。もはや伝説であろう貸本マンガについても詳しく記載がある。有名なトキワ荘、そして少女マンガの発展からのサンデー、マガジンの登場も胸熱だ。歴史書のイメージとは少し違い、図や表はなく全て文字だけなのも非常に良い。

また、本書は装幀にもかなりこだわりがあり、製本は「コデックス装」となっている。分かりやすくいうと、ノートのように完全に開くことができる製本だ。これは本書が『岩崎調べる学習新書』であるがためである。書き込んで使えるように開きやすく、余白も多く、紙も書き込みやすい紙が使われている。

また、本書を出版している岩崎書店は『もしドラ』で有名な岩崎夏海氏が代表取締役社長を務める書店である。2016年より社長が変わり、本書のような面白い本を出していたりなど、評者は岩崎書店の今後の作品を非常に楽しみにしている。

本書は歴史書のプロであり、マンガの歴史とともに生きてきたみなもと太郎氏にしかかけない唯一無二の歴史書となっている。マンガ好きにとっては必読書であるだろう。第2巻以降が楽しみで仕方がない。