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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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今なお使われ続ける象形文字『トンパ文字』

トンパ文字』著者 王 超鷹(マール社、1996/4/20)

 

昨今、若者を中心にコミュニケーションの大きな変化が起こっている。現代の若者は電話でもなく、テキストでもなく、スタンプ(絵)でコミュニケーションを取っている。一方で1000年に渡り、絵でのコミュニケーションを行なっている部族がいる。彼らが使っている文字、それが『トンパ文字』だ。

トンパ文字』は中国の雲南省北部に住む「ナシ族」が利用している象形文字である。2003年に世界遺産にも登録されたその文字は全部で1400字にもなる。まずは見ていただこう。
https://goo.gl/G9KNDp

非常にカラフルなものも多く象形文字だけあってなんとなく意味が分かりそうなものもある。1000年に渡り使い続けられてるというだけでも驚きであるが、実はこの色にも意味がある。同じ文字でも、色使いによって意味が変わるのが『トンパ文字』の大きな特徴だ。黒色で書くと、悪い意味、黄色で書くとお金が絡んだ意味など意味が変化する。また、文字を書く方向は決まっていない。上から書くとか、左から書くとか、全くルールがない。

本書はそんな『トンパ文字』の説明、利用、また実際に使われているナシ族の町を取材している。その町もまた、石畳が轢かれ、木造住宅が並びまるで日本のようで非常に興味深い。これは直接本書で確認して欲しい。中国の奥地に日本の風景があることに驚かせられるだろう。

「字は体を表す」とよくいうが、『トンパ文字』からは非常に優しく、穏やかなものを感じる。現代のスタンプからも同様に相手のキャラクターが伝わってくる。いろいろな情報を載せることができるスタンプはもはやただの絵でなく、文字として使われているのでは無いだろうか。