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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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非行少年の実態とは?!裏社会でしか生きていけない「半グレ」たち 『ギャングース』 原作 鈴木大介 作画 肥谷圭介 (講談社、2013年〜2017年連載)

非行少年という言葉を聞いて、あなたが思い浮かべる非行とは何だろうか。

髪を染めたり、ピアスを開けたりすることだろうか。

それとも、喧嘩に明け暮れるような、バンカラな少年だろうか。

 

本書で取り上げられる非行少年は、それらとは毛色が違う。

彼らがするのは、強盗や詐欺だ。強盗は「タタキ」、詐欺は「S」と呼ばれる。

その日生きるために、他の方法がわからないのだ。


 主要な登場人物は、皆、施設の出身であったり、家庭環境が悪かったりする。

共通して言えるのは、実の親との関係が悪いことだ。

また、中には、そうでない者もいるが、ほとんどは、幼少期に万引きを経験したことがある。高級品ではなく、食べ物を。彼らは、次にいつ食べ物を食べれるかわからない、という不安を常に抱えながら生きているのだ。


 この漫画のストーリーは、そんな最貧困層出身の、カズキ、タケオ、サイケの3人を中心に回っていく。

その中でも、主人公のカズキは、馬鹿馬鹿しい振る舞いばかりするが、壮大な夢を持っている。悪人から金をタタいて(奪って)、その金を使って、かつての自分たちと同じような、居場所のない子供達に居場所を与えられる国を作る、ということだ。あまりにも壮大な話だが、周りの人間は、その熱意にやられ、カズキについていく。

タケオとサイケは、その中でも特に信頼している仲間だ。少年院で知り合った彼らは固い絆で結ばれていて、お互いのピンチには必ず助け合う。そんな彼らが、他の半グレから金をタタく様は、躍動感のある絵柄も相まって、ど迫力だ。


 半グレたちに共通しているのが、仲間を大切にするということだ。彼らは、家庭に居場所がなかった分、他のところで居場所を作る。その居場所が、仲間だ。彼らの絆は、多分、普通の家庭の家族よりも強いんじゃないかと思う。居場所がなかったことが逆に、より強い居場所を括ることにつながっているのだ。


 本書の特徴として、コマの外に詳しい注釈があることと、コラムが充実していることが挙げられる。他の半グレの漫画よりも、実態がよりわかりやすくなっているのだ。漫画としての面白さもピカイチなので、ぜひたくさんの人に読んでもらいたい。