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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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金融の世界のことを知りたければこの1冊なんじゃない? 『リーマンショックコンフィデンシャル  TOO BIG TO FAIL』 著者 Andrew Ross Sorkin 加賀山卓郎訳 (ハヤカワノンフィクション文庫 2014/04/25)

本書は、リーマンブラザーズが破綻する前後について時系列に沿って物語形式で書いた本です。
リーマンショックについて様々な本が出ているかと思いますが、本書は大変面白かったです。
理由として3点あります。

まず、1点目として、金融の世界で出てくるキーワードが余すところなく出てくる点です。
ざっとですが、下記に挙げる10のワードの意味を説明できる方はそうはいないと思います。
これらが物語の中でサラッと出てきてそれらの関連性がなんとなく理解できます。
デリバティブ
コモディティ
・サプライムローン
証券化
・デゥーディリジェンス
CDS
・世紀の空売り
レバレッジ
モラルハザード
エクスポージャー

次に2点目として、読み応えがある点です。
本書は文庫版で約900ページの大作であり、登場人物が多く、時系列に沿って書かれているため、大変読み応えがあります。
リーマンショックとは「証券化商品であるサプライムローンの評価方法に誤りがあり不良債権化し、それにより大手金融機関が潰れた話」ですが、それ以外に様々な問題提起をした歴史的トピックだと思っています。
例えば、「資本主義は良いか悪いか」「ウォール街が富裕層達は金を稼ぎすぎだ。貧困層に分配するべきだ(ウォール街を占拠せよ)」、「絶対起きないは絶対起きない(哲学的な問い)」等です。これらについて、本書を読みながらぼんやりと考えることができます。

最後に3点目として、始まりと終わりがかっこいい事です。
本書は、ガリレオ・ガリレイの言葉を引用して始まります。
「あらゆる真実は、発見してしまえばたやすく理解できる。重要なのは、発見することだ」と引用し、「本書がそうであることを願う」と始まります。
そして長い物語の後、ルーズベルト大統領の演説の引用で終わります。
「重要なのは批評家ではない(中略)。
名声は、現に競技場に立つ男のものだ。(中略)
万一失敗に終わっても、それは少なくとも雄々しく挑戦したうえでの失敗である。
だから、彼らの立場が、薄情で臆病な、勝利も敗北も知らない者たちと同じになることはありえない。」と引用し、
「(本件について)現場で戦った人がどうであったかは後世が判断することである」と終わります。
かっこよくないですか?

以上より、金融の世界の事をざっとインプットして、ぼーっと俯瞰して考えたい人には大変おすすめです。


*上記の言葉の意味は下記になります。
デリバティブ
金融派生商品のこと。原資産である、株式、金利、債権、通貨等から派生した商品の総称。
コモディティ
石油石炭や金銀、小麦のように実態のある現物商品の総称。
・サプライムローン
通常の住宅ローンの審査には通らないような信用情報の低い人向けのローンのこと。
証券化
保有資産を資金化するために、資産のキャッシュフローを裏付けに有価証券を発行する手法。
・デゥーディリジェンス
企業価値の調査こと。
CDS
「Credit default swap」の略。
社債国債、貸付債権などの信用リスクに対して、保険の役割を果たすデリバティブ契約のこと。
・世紀の空売り
空売りとは証券等を未来から買ってきて現在売ること。リーマンショックが起きることを予測して空売りを行い、莫大な利益を上げたこと。
レバレッジ
経済活動において、他人資本を用いることで自己資本に対する利益率を高めること。
モラルハザード
元々は保険があることによって、より危険を起こしやすくなること。これを広義に捉え、倫理観や道徳感の欠如を意味することもある。
エクスポージャー
投資家の持つポートフォリオのうち、直接的にかかわる特定のリスクにさらされている資産の割合のこと